カレッジマネジメント190号
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23リクルート カレッジマネジメント190 / Jan. - Feb. 2015特集 学部・学科トレンド2015①環境問題の解決▶「環境」×「エネルギー」×「工学」・2014年:秋田大学国際資源学部②先端科学分野▶「先端分野(ICT、生命、医療等)」・2011年:法政大学理工学部創生科学科・2013年:明治大学総合数理学部、中央大学理工学部人間総合理工学科以上のように、「社会課題解決型」の学問とそれに関係する様々な学科系統の掛け合せによって、新たな学部・学科の兆しが整理ができる。また、前掲した図表4(P16)について、2012-2014年の複合分野の志願者増加ランキングの3位・7位で、「語学(外国語)」×「国際関係学」×「国際文化学」×「コミュニケーション学」という新たな学科系統が開発され、10位ではさらに「地理学」×「歴史学」×「文化人類学」も掛け合せて、設置数6で合計8,247名の志願者を集めている。グローバル化された社会課題に対応するための学科開発と思われる。同様に9位の「栄養・食物学」×「化学」×「生物学」×「生命科学」×「農学」という組み合せで2,314名の志願者を集めている。食資源・安全の課題に対する新たな開発の兆しと思われる。16位の「スポーツ学」×「健康科学」の30もの新設は、健康寿命増大・予防医療などの社会課題への対応学科の方向性と思われる。次の段落では、複合分野のなかでも領域の広がりに特徴が見られる「農学」「国際」「医療」それぞれについて、分析と考察を行いたい。社会課題解決型開発の具体例図表10〜12は、前述した「農学」「国際」「医療」について、2008年までの既存学科、及び2008年から2014年まで設置された新規の学科の複合状況について比較し、図式にまとめたものである。1.農学を核とした領域図表10は農学分野を起点とした複合分野の組み合せの学科設置数・募集定員・志願者数・志願倍率と、その様子を図式化したものである。2008年までの既存の設置学科のなかで、設置数が多いのは、「農学」×「経済学」(志願倍率6.2倍)で8学科、「農学」×「生物学」(5.1倍)、「農学」×「生命科学」(5.3倍)、「農学」×「環境科学」(5.0倍)が5学科、次に「農学」×「経営学」(4.9倍)が4学科、「農学」×「環境工学」(8.7倍)が3学科と続く。2008年から2014年に新設された学科は様々な複合分野であるが、高倍率を付けた組み合せとしては、「農学」×「生命科学」×「森林科学・水産学」×「環境科学」(34.8倍)、「農学」×「生命科学」×「獣医・畜産学」(20.5倍)、「農学」×「化学」×「栄養・食物学」×「生物学」×「生命科学」(16.5倍)、「農学」×「生命科学」×「社会学」×「コミュニケーション学」×「心理学」×「福祉学」(6.8倍)、「農学」×「栄養・食物学」×「環境科学」(5.5倍)、「農学」×「獣医・畜産学」(5.3倍)などがある。特に第一次産業である農学分野に代表される学部・学科は、設置に際し物理的制約が多いこともあり、設置大学数も少なく、これまでのトレンドは衰退の一②食の安全・食資源の確保▶「農学」×「食資源」「生物」「環境」×「経営」「流通」・2012年:大阪府立大学生命環境科学域、島根大学生物資源科学部生物科学科・生命工学科・農林生産学科・地域環境科学科・2013年:宇都宮大学農学部生物資源科学科・応用生命化学科、東洋大学食環境科学部、吉備国際大学地域創生農学部、石巻専修大学理工学部食環境学科、広島国際学院大学工学部食農バイオ・リサイクル学科・2014年:東京農業大学応用生物科学部食品安全健康学科、法政大学生命科学部応用植物科学科、拓殖大学北海道短期大学農学ビジネス学科・2015年:龍谷大学農学部、日本大学生物資源科学部生命農学科・くらしの生物学科、京都学園大学バイオ環境学部食農学科・2016年:徳島大学生物資源産業学部・2017年:開志大学(仮称)新設3.先端科学技術ノーベル賞の受賞ラッシュに沸いた2014年であるが、今後も日本が先端科学技術を用いてグローバル課題を解決する方向性は変わらないだろう。いわゆる研究型大学と言われる国立大学・トップ私大の理系分野は、統廃合も含めて、先端科学技術の開発や、領域横断的な問題・課題の解決に注力し続けるものと思われる。また、これらは既存の学部内での研究領域拡大として表れる部分も多いため、必ずしも新増設・改組につながるとは限らない。
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