カレッジマネジメント190号
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42リクルート カレッジマネジメント190 / Jan. - Feb. 2015 「大学の真の『実力』を知りたい」-高校生やその保護者、企業、起業家、ファンドマネージャー、非営利法人、官公庁、社会人入学や海外からの留学希望者、学生や大学教員、そして大学経営者などに共有する思いだろう。だからこそ、国内外を問わず数多くの「大学ランキング」が存在する。昨年10月に文部科学省が専門分野ごとの科学研究費助成事業(以下科研費)採択数上位10大学を初めて公表した際、各紙は「大学の研究力 新ランキング」、「地方大学一芸の強み」(朝日新聞)、「旧帝大、伝統的分野で強み 新分野、私立・地方大など健闘」(日刊工業新聞)、「私大・地方大が健闘 伝統校、意外な弱点も」(日本経済新聞)などと報じた。本稿では、この公表の趣旨や背景、傾向分析を述べたうえで、大学経営へのインパクトについて考察してみたい。なお、本稿で意見に関わる部分は執筆者の個人的見解であり、所属機関の公式見解を示すものではないことを予めお断りしたい。科学研究費助成事業の分野別採択状況からみる「強み」と大学経営言うまでもなく科研費(科学研究費助成事業)は研究者の間で最も信頼されているわが国最大の競争的資金(研究費)である。図表1に示したように、厳正なピアレビューにより、大学や高専の教員、研究機関の研究員など全国27万人の中からアクティブな研究者6~7万人程度を選び、支援している。また、「基盤研究C」は年間の研究費(直接経費)が平均で110万円である一方、「基盤研究S」は3000万円といったように、研究費額に応じて種目が分かれており、比較的少額の科研費がわが国の学問生産の量(論文生産数)を、高額の科研費が質(論文被引用トップ1%/10%の割合)をそれぞれ支え、わが国の学術研究の基盤となっている。科研費はわが国最大の研究評価2研究力の「新ランキング」?1合田哲雄 文部科学省学術研究助成課長図表1 科学研究費助成事業の仕組み知的・文化的価値の創造経済的・社会的・公共的価値の創造刺激科研費の役割②科研費の役割①真理の追究〜ボーア型研究〜技術的成立性の証明※〜パスツール型研究〜JST/戦略創造の役割②JST/戦略創造の役割①科研費等によって生み出される優れた科学的知見革新的な新技術シーズの創出Active Researchers6〜7万人【研究者】企業48万人大学32万人公的機関3万人総数83.6万人※革新的ゆえに民間企業等による参入・投資・リスク負担の判断が困難な技術シーズについて、民間企業等がリスク判断することを可能とするために行うもの科研費申請登録者 27万人国立8万人、公立1.5万人、私立12万人、その他5.5万人(研究開発独法、国立試験研究機関大学院(博士)7.5万人(1.5万人/年)国立5万人、公立0.5万人、私立2万人…理学0.5万人、工学1.4万人、保健2.6万人大学院(修士)17万人(8万人/年)国立10万人、公立1万人、私立6万人…理学1.5万人、工学7万人、保健1万人大学(学部)256万人(60万人/年)国立45万人、公立12万人、私立199万人…理学8万人、工学40万人、保健28万人高等学校基礎学力テスト(仮)・大学入学希望者学力評価テスト(仮)高校生360万人(120万人/年)←理数教育の充実、「科学の甲子園」などPISA調査レベル5以上 16〜28万人/年小・中学生1,000万人(120万人/年)←中学校・理科時数33%増 など

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