カレッジマネジメント190号
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リクルート カレッジマネジメント190 / Jan. - Feb. 2015本章では、「リクルート入試実態調査」から、18歳人口ピークの1992年を起点とし、同一条件で分析可能な学科のデータを最新年度2012年まで4年間隔で20年間、および直近の2012年から2014年の3年間について、学科系統別に追いかけ、その推移を見ることとする。全学科を78の系統別に分類今回、「リクルート入試実態調査」で分析対象とした、国公私立大学に設置されている学科総数は、2014年時点では5,139学科であった。そこで、まず分析対象とした5,139学科の学科系統を、リクルート独自の12の大分類と78の小分類に振り分けていった(図表1)。ここでは、78分類に当てはまった3,472学科を単独分野とした。学科名称だけでは判断できないものについては、教育内容から判断し分類している。ただし、分析対象とした学科には、78の小分類に単純に当てはまらない、複数の分野が融合した学科(以下複合分野)が1,667学科592種存在した。そこで、これらは複合分野として別にカテゴリーし、単独分野と複合分野とに分けて、分析を行うこととする。5つの段階で20年間の学科のライフ・サイクル(栄枯盛衰)を見るまず、78に学科系統分類された単独分野のマーケット・トレンドを分析してみよう。本誌152号・162号と179号でも使用した、学科系統のライフ・サイクル図(図表2-1)をご覧いただきたい。これは、縦軸に志願者数を、横軸に募集定員数を置いたマトリクスであり、図表上の矢印は、大学の学科系統のライフ・サイクルのパターンを示している。さらに、学科のライフ・サイクルには、Ⅰ成長期、Ⅱ成熟期、Ⅲ衰退期、Ⅳ撤退期、Ⅴ再成長予兆期という5つの段階があると仮説を立てた。Ⅰ成長期ある大学が、新たな分野の学部・学科を設置することから始まる。最初に設置した大学の募集定員と志願者数をプロットした地点を起点とする。最初の成功を参考に、他の大学学科のライフ・サイクルとマーケット・トレンド(全国/国公私立大学)章1寺裏誠司 リクルート進学総研 客員研究員カレッジマネジメント162号(2010年5月号)の特集「学科のマーケット・トレンドと学部・学科開発」において分析した学科のマーケット・トレンド以降、1992年から2012年までの20年間のデータをもとに4年刻みでトレンド分析を行ってきた。学科のマーケット・トレンドは社会情勢の影響を受けやすく、2008年9月のリーマンショック以降の長引く不況、2011年3月の東日本大震災等の社会情勢の変化がトレンドに変化を与えてきた。本特集は、2012年の4年後である2016年に特集予定であったが、2012年12月26日の安倍政権発足後の政策であるアベノミクス、および2020年東京オリンピック開催の決定などが与えた影響か、学科のマーケット・トレンドに興味深い「兆し」のような変化が見て取れたため、2014年の中間報告を行いたい。アベノミクス・東京五輪の影響で変化の兆しが見える「学科のマーケット・トレンド」

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