カレッジマネジメント190号
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66学校法人会計基準の一部を改正する省令が、平成27年度(知事所轄学校法人については平成28年度)以降の会計年度に係る会計処理及び計算書類の作成から適用される。既に、改正後の新たな基準に基づき平成27年度予算の編成が進みつつあるものと思われる。これを機に、学校法人及び国立・公立大学法人における「会計」の意味を再確認するとともに、利害関係者への説明責任を果たすためだけでなく、「会計」を教育活動の高度化と経営基盤の強化に結びつけるために何が必要かについて考えてみたい。120万人の踊り場が続いた18歳人口も2018年以降再び減少に転じ、直近2013年の出生数102万9816人(2014年9月厚生労働省公表)を基に考えると、毎年平均1万人に近いペースで減少が続くことが想定される。また、2012年における子どもの貧困率は過去最悪の16.3%(2014年7月同省公表)となっており、進学率の上昇を後押しする経済環境も期待し難い状況にある。足元の状況を確認すると、2014年度において入学定員未充足の私立大学は33校増加して265校となり、私立大学全体に占める割合は5.5ポイント上昇して、45.8%となっている(日本私立学校振興・共済事業団「平成26年度私立大学・短期大学等入学志願動向」より)。国立大学についても、優れた取り組みを行う大学を重点支援する一方で、何もしない又はあまり優れていない取り組みを行う大学に対しては、教育研究組織の合理化・再編、他大学との再編統合等を通じた機能強化を促すとの運営費交付金の改革案が財務省より示され、国立大学関係者の間で大きな波紋を呼んでいる。地方財政の状況を考えると公立大学の状況も同様に厳しさを増しつつあるものと思われる。一方で、大学には、教育の質保証、研究の高度化、社会・地域貢献、グローバル化といった課題への取り組みを加速し、その成果を広く社会に示すことが強く求められている。これらは個々の大学の持続可能性を高めるためにも必須な事柄であるが、これまで以上に多くの労力や経費を要することになる。とりわけ、教育の質保証については、新たな教育方法の導入、少人数教育、きめ細やかな学生支援など費用増に繋がる施策が多い。質の高い教育活動(以下「教育活動」という場合、研究を含む教学全般の活動を指す)を持続的に展開するためには、安定した財政基盤が不可欠である。そのためにも、自校の財政状況を経理・財務担当の理事や職員のみならず、大学全体で広く共有する必要がある。私立大学にとって学校法人会計基準の改正はその好機でもある。国公立大学においても、現下の情勢を考えると、広く役員・教職員が「会計」を通して、教育活動の基盤となる財政状況に対する理解を深める必要がある。 会計は、「ある経済主体の活動や事象を主として貨幣額によって測定・伝達するプロセス」(伊藤邦雄『新・現代会計入門』日本経済新聞出版社2014)であるが、企業会計、学校大学を強くする「大学経営改革」「会計」を教育活動と経営の高度化に結びつける吉武博通 筑波大学 大学研究センター長 ビジネスサイエンス系教授リクルート カレッジマネジメント190 / Jan. - Feb. 2015学校法人会計基準の改正を「会計」理解の好機に「資金の流れ」、「事業活動の収支」、「財政の状態」57
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