カレッジマネジメント191号
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15められる機会も多く、自然にインタラクティブな授業となる」(大森副学長)。全学生に占めるインターンシップ参加者は50%、海外留学参加者も50%と半数に上る。またアクティブ・ラーニングを採用している科目は全体の75%、アクティブ・ラーニングを実践する専任教員は100%に上る。ただし、同大学におけるアクティブ・ラーニングの導入は、大学として組織的・意図的に「導入」されたというよりも、各教員の授業改善の努力の中で自然に進んだ側面が大きい。「アクティブ・ラーニングの導入率の高さも、APに申請しようとして初めて分かった」と大森副学長は話す。地域で一番の大学に─改革の成果と課題共愛学園前橋国際大学の改革の成果は、学生アンケートの結果に如実に表れている。図表4は、開学時から継続して実施している学生アンケートについて、「入学して良かったと思いますか?」との設問に対する回答結果を比較したものである。「そう思う(とてもそう思う+そう思う)」の割合について、1999年の調査では、1年次終了時で31.9%、卒業時でも59.0%であった。これに対し2009年では、1年次終了時で61.0%、卒業時で93.2%まで向上している。「大学に入って良かったと思ってくれる学生を増やすことが、この15年間の命題であった」と大森副学長は話すが、改善努力を数字で裏付ける結果である。今後の方向性について、平田学長は「地域で一番の大学になりたい」と話す。地域の保護者や企業に選ばれる大学として、これまで以上の成長が目指されている。課題の一つが、地域の産業に強い大学としてのイメージの確立である。同大学には、127年間の学園としての歴史を背景に、“英語の共愛”としてのブランドがある。しかし、産業に活きる人材を養成しているとの認知については、未だ改善の余地があるという。「情報やビジネスに強い卒業生が育っているが、まだまだ知られていない。英語の共愛という基盤を守りながら、産業界と連携してイメージの転換を図っていきたい」と大森副学長は話す。多様性をバネとした地方・小規模・新設大学の革新共愛学園前橋国際大学は、「地方の小規模な新設大学」としての特徴をメリットへと換えながら成長を遂げてきた。地域に根差した小規模で構成員の距離が近い大学としての基盤を短期大学時代から受け継ぎながら、新設大学として経験した学生募集の苦境を教職一体のガバナンスで乗り切り、グローカル、学生中心主義のアクティブ・ラーニングといった今日の大学改革の課題を先取りする革新を進めてきた。GGJ、COC、APの3大事業の獲得は、これら自律的な革新の成果を形にした結果である。「必死に自分達の大学に必要なことを模索し、取り入れていった結果、気がついたら世の中が求めていることを備えた大学となっていた」と大森副学長は開学後の10年間を振り返る。共愛学園前橋国際大学が自律的な革新を続ける要は何か。平田学長は卒業式の写真を示しながら、次のようなことを話してくれた。「教職員の顔ぶれをみると、今は開学当初に比べても、男性、女性、若い人、年齢の高い人、多様な人が集まっている。色々な人がいることで、新しいことができる」。小規模ながら多様性を抱えた大学であること、フラットな大学づくりの風土の上に危機意識が共有されたこと、そして教員・職員・学生の垣根を越えたアイデアが化学反応を起こす中で次々と革新が進められたこと。これら複合的な要因が、「地方の小規模な新設大学」としての特徴を強みへと換える動因であったのではないか。コンパクトな大学ならではの、多様性をバネとした自律的な革新のモデルとして、同大学の実践に学ぶところは多い。リクルート カレッジマネジメント191 / Mar. - Apr. 2015(丸山和昭 福島大学 総合教育研究センター 准教授)特集 地域で選ばれる大学図表4学生アンケート「入学して良かったと思いますか?」結果(1年次と卒業時の比較)同 卒業時 ●1999年 入学者1年次終了時 同 卒業時 ●2003年 入学者1年次終了時 同 卒業時 ●2009年 入学者1年次終了時 31.9(%) 59.0 83.9 61.0 93.2 3.9 2.9 30.0 9.0 14.0 2.1 25.5 15.5 36.8 31.3 そう思う(とてもそう思う+そう思う) どちらでもない そう思わない(そう思わない+全くそう思わない) 55.6 35.5 8.9

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