カレッジマネジメント191号
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19の設置・統廃合については基本的にトップダウン式だと清水学長は述べる。さらに、教学の重要事項については、学長を中心に学部長やセンター長からなる「教学運営会議」が機能している。他方、予算措置を決定するのは理事長を中心とする常勤理事会だ(図表2)。法人・教学ともに意思決定プロセスは複雑化させず、シンプルなラインで進めていると学長は説明する。ただ、全てがトップダウンということはない。教授会レベルでは、国立大学以上に民主的だと言われるくらいに議論を尽くすという。皇學館には学部教授会の開催はない。全学の80数名による全学教授会だ。そこで丁寧に審議を進め、結果を学長に答申し、学長が最終意思決定を行う。教員の専門性に基づく判断が必要なものは全面的に教授会に委ねる、教員の理解がなければうまくいかないというのが清水学長の基本的考え方だ。教員を尊重し信頼関係を築く努力を疎かにしたまま、トップから一方的に物事を進めているわけではない。ただ、皇學館の置かれた環境があまり楽観視できる状況にないことも確かだ。全国区の神道学科・国史学科は別にしても、皇學館が中心とするマーケットは基本的に三重県や東海地方が中心になる。しかし今後、例えば県南勢地域では確実に人口減少が進行する。そんな状況を前に、地域から選ばれる大学であり続けることが喫緊の課題だ。一昨年から、創立140周年に向けた「皇學館大学140教育研究ビジョン」を策定したのはそのためだと清水学長は言う。今後は、この中に示された5年間の中期行動計画(平成27-31年度)を着実に実施・モニタリングしていく計画だ。中期行動計画には、特に教育研究に関する具体的施策が列挙され、誰が、いつまでに、何を仕上げるのかが包括的かつ明示的に示されている(中期行動計画は大学HPでダウンロード可能)。このうち清水学長が特に強調するのは教育の質的転換・質保証だ。大学教育の原点として「人間教育」に徹することの大切さを強調し、「教育の質向上に最大限の努力を払っていく」と述べる学長の姿勢は明快だ。持続可能な地域を担う人材育成教育プログラム開発事業である「『伊勢志摩定住自立圏共生学』教育プログラムによる地域人材育成」(平成26年度「地(知)の拠点整備事業」選定取組)は、地域再生の核となる大学、地域貢献人材育成に取り組む皇學館の教育の質的転換への取組の一例だ。(coc.kogakkan-u.ac.jp)ほかに新年度以降、シラバス改善、学修成果の測定、教育のPDCAサイクル等々、学生の学びの実質化を図るための取り組みを進めていくことにしている。また、今後2年以内に学部・学科の点検も進めていきたいという。清水学長はさらに、国際的な大学連携を通してもっと「開かれた大学」になっていきたいと語る。今後は、皇學館の強みを活かし、世界から神道や日本文化を学ぶ場として認知される取り組みも広げていく予定だ。既に伊勢市と共同で「伊勢と日本スタディプログラム」も始めている。神道の中心地である伊勢から、新たな可能性が模索されていくに違いない。皇學館の挑戦は今緒に就いたばかりだ。さらなる展開に期待したい。リクルート カレッジマネジメント191 / Mar. - Apr. 2015(杉本和弘 東北大学高度教養教育・学生支援機構准教授)特集 地域で選ばれる大学大学事務局IR室国際交流地域連携推進室研究開発推進センター教育開発センター付属図書館全学教授会専攻科委員会大学院委員会総務委員会学生・学修支援機構学科会学生支援部学修支援部就職委員会学生募集委員会学生委員会各種課程委員会教務委員会法人事務局常勤理事会教学運営会議理事会自己点検・評価委員会理事長学長副学長副学長担当学部長センター長センター長館長学生部長担当学部長コンプライアンス・ハラスメント委員会ほか図表2 皇學館大学の運営組織図(案)(平成27年度~)

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