カレッジマネジメント191号
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21して、その地域のあるべき将来のために、行政・財界・学校が手を携えた「公私協力方式」によって開学に至った。母体である学校法人九州文化学園は、1945年の創立以来、佐世保市の発展と共に、地域に根ざした教育環境の整備と人材育成に力を入れ、時代のニーズに即した学校教育を行ってきた。しかし「公私協力方式」によるがために、大学を開学するにあたっては、知事や市長も含め、学園外の様々な人の協力を必要とした。「学長として適任な方を探すことが、まずは大変だった」と当時から九州文化学園理事長であった安部学長は振りかえる。また、開学当初から設置している国際観光学科、社会福祉学科はもちろん、健康栄養学科や薬学科も「地域社会で必要とされているか」という観点で開設したため、教員を学外よりイチから集める必要もあった。行政や財界関係者も納得するような学長を探し、それぞれの分野の研究教育の担い手としてふさわしい教員を集めるにあたっては、安部学長自らがキーマンに直接会い、時には断られることもあったが、粘り強く交渉を重ねたという。学生募集のV字回復地域に根ざす学校法人を母体とし、地元地域のニーズや要請をもとに開設された大学とはいえ、志願者や入学者が順調に伸びていったわけではない。そもそも開学した2000年は、四年制大学の新設がブームとなっていた時期である。開学以降、学部増設を進めてきたが、志願者数の下降傾向をとどめることはできなかった(図表2参照)。一定の学生募集を見込んでいた薬学部も、開設した2006年から6年制教育となったこともあり、期待していた以上に学生を集めることはできなかったという。2007年に日本高等教育評価機構の認証評価を受けた際には、「入学者数減少による厳しい財務状況」「管理運営体制の未成熟」等を理由に「保留」判定を受けた。2009年の再評価では「管理運営体制の再構築」等を理由に「適格」判定となったが、学生募集上の課題が十分に解決されたとはいえない状況であった。しかし2010年度を底として、志願者数はV字回復をみせている。その大きな原動力となっているのは、それまで独立していた入試部門と募集部門を統合してできたリクルート カレッジマネジメント191 / Mar. - Apr. 2015特集 地域で選ばれる大学石橋俊弘入試・募集センター長安部直樹理事長・学長0 200 400 600 800 1000 1200 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 開学 (年) (人) 人間社会学部 国際観光学科 薬学部 薬学科 健康管理学部 栄養学科 人間社会学部 社会福祉学科 256 218 145 199 202 176 172 172 163 182 126 158 171 195 226 83 203 589 1101 74 244 447 960 99 216 304 790 54 198 264 674 70 171 267 634 71 147 275 675 77 214 364 818 114 154 448 888 150 214 486 1022 217 229 622 207 233 642 229 306 734 212 140 497 292 510 314 570 図表2 志願者数の推移 (留学生除く)

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