カレッジマネジメント191号
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23ている。在学生を起点とする口コミの影響は大きく、入学につながることも期待しているという。地域社会に貢献する人材育成いわゆる2018年問題を前に「全学科定員充足」の状況を作り出し、安定的に維持していくためには、「入学した学生を育て、目指す資格を取得させ、地域社会に送り出していく成果」が極めて重要な課題になると安部学長は考えている。長崎国際大学では、開学当初より「地域社会に貢献する人材育成部門」として地域から必要とされる大学となることを目指してきた。対人サービスの各専門分野の人材育成、薬剤師や管理栄養士等各種資格取得の促進とともに、3学部4学科が連携し、社会人基礎力と専門分野を身につけ、他職種や地域社会を理解し、チームで協働できる社会人の育成に力を入れている。学年間のコミュニケーションの醸成、効果的学習時間の確保を目的にLA(ラーニングアシスタント)制度にも積極的に取り組んでいる。「地域力を生む自律的職業人育成プロジェクト」が平成24年度「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」(文部科学省)に採択され、大学間連携共同教育推進事業においても平成24年度「留学生との共修・協働による長崎発グローバル人材基盤形成事業」が採択されたことで、より一層こうした取り組みを強化している。一方で、教職員の能力開発にも余念がない。体系的なFD・SDを展開することはもとより、教職員の学位取得も支援している。また、安部学長のリーダーシップの下、平成26年度からは教職員双方での人事考課制度の導入も始まっている。様々な取り組みは学生に有益であると同時に、地域の産業界とともに人材を育成するパートナーとしての長崎国際大学への期待や評価にもつながるだろう。地域における存在感の強化学生募集や人材育成に限らず、教育・研究・社会貢献においても、長崎国際大学では地域を重視し、そこでの存在感を強めている。地元長崎県及び佐世保市における各種連携事業もさることながら、平成25年度からは平戸市とも多面的な連携事業が展開されている。地元自治体に留まることなく、より広域に歩を進める長崎国際大学のスタンスがここにも垣間見える。また、スポーツ活動による地域活性化にも力を入れている。ナショナルチームメンバーを輩出するアーチェリー部を始めとした全国レベルの強化指定部の活動を支援するとともに、2015年度より、全日本大学選手権等トップレベルの大会出場を目指す硬式野球部を創設する。長崎県内の高校硬式野球部男子登録者はサッカーに次いで多いにも拘わらず、硬式野球部が活動している県内私立大学はなかった。オープンキャンパスで実施した野球部創部説明会には80名もの参加があり、5月にはキャンパス横に野球場が竣工予定という。茶道教育を通じたホスピタリティの涵養も大学の大きな魅力となっている。安部学長も教鞭をとる茶道文化の授業は、単なる礼儀作法の習得といった枠組みではなく、九州文化学園が理念とする「全人教育」を具現化するツールとなっている。学生達は教室の授業だけでなく、施設を訪問しての呈茶、近隣住民との茶会の開催等、地域貢献活動を行っている。長崎国際大学は、地域から愛され、地域社会に貢献できる人材の育成を目指していることを、様々な場面で明確に示している。「地域が『元気であること』を目指し、そのためにも大学が地域の中で『元気な大学』であること。イノベーションを重ね、いつも何かをしているような大学でありたい」という安部学長の思いを、石橋センター長を始めとした教職員がPDCAサイクルに基づき迅速に目に見えるカタチにしてきた結果、“地域から選ばれる大学”としての実績につながっているのではなかろうか。ここで重要なのは、「大学側の目線・都合」ではなく、「地域の方々の目線・都合」に重きをおき、そのために有益な取り組みを適材適所で行っていることであろう。それは、地域とともに大学を創り上げていくことにほかならない。こうした大学が地域から選ばれるのは、当然のことなのかもしれない。リクルート カレッジマネジメント191 / Mar. - Apr. 2015(望月由起 お茶の水女子大学 学生・キャリア支援センター准教授)特集 地域で選ばれる大学

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