カレッジマネジメント191号
25/62
25この危機は脱せません。高校の存続程度の消極的なスタンスではだめなのです。島前挙げて各方面の方々と議論をして、改革方策を練りました」。島前高校の常松徹校長は当時の危機感を話される。島に人を呼び込もう:「魅力化プロジェクト」存続ではなく魅力ある高校にすることを目的とした「島前高校魅力化プロジェクト」は、2008年3月から本格的な活動をはじめる。「隠岐島前高等学校の魅力化と永遠の発展の会」の中に、島前3首長、3町議長、島前高校校長、3中学校校長、PTA会長、OB・OG会会長等を構成メンバーとするワーキング・グループが設置され、そこで具体的な構想案を練り上げていった。同年12月には、ワーキング・グループの最終答申が固まる。その後2009年10月からは「魅力化の会」の下部組織として「隠岐島前高等学校魅力化推進協議会」が結成され、図表2のような体制で活動は継続されている。学校問題は地域問題であるとして、地域住民、保護者、高校のOB/OG等が関わり、島全体でプロジェクトが支えられていることが特徴である。高校廃校が島の衰退をもたらすという関係を逆に循環させれば、高校の魅力化が島に高校生やその家族を呼び込み、それが地場産業の復興や起業につながるというポジティブなスパイラルになる。そこで、島前高校に島外から高校生を募集する「島留学」を起爆剤にしようと考えた。このプロジェクトのコンセプトは、「ないものはない」というコピーで表現される。ここには、「何もない」という意味と「無限にある」という意味との、2つの逆説的な意味が込められていることは容易に理解できよう。都会と比べて便利なもの、手軽に楽しめるものは何もない。しかし、豊富な自然環境と小規模で地理的に閉じた社会は、学校を越えて誰もが個々の生徒に目を配る「島全体を学校」にすることができると考えたのであった。学校を魅力的にする要素は無限にあるのだ。島は教材:「地域学」・「夢探究」、シンガポール研修教育理念は、グローカル人材の育成である(図表3参照)。この理念を具現化した高校のカリキュラムは、2本の柱を持つ。1つは、ここでしかできない魅力ある教育内容の構築。もう1つは、大学進学を視野に入れた学力保証である。これまでにも義務教育レベルであれば山村留学という形態で、自然環境あふれる空間での教育の魅力を売りにすることはあった。しかし、将来の進路がかかる高校段階では、それだけでは売りにならない。それにどのような付加価値をつけるのか。また、都市部の高校と遜色のない学力をどリクルート カレッジマネジメント191 / Mar. - Apr. 2015特集 地域で選ばれる大学中村怜詞 教諭常松 徹 校長“海士らしさ”を表現したというキャッチコピー図表2 地域全体で生徒に対峙する体制隠岐島前高等学校の魅力化と永遠の発展の会隠岐島前高等学校魅力化推進協議会※必要に応じて関係者を招集し分科会を開催地域住民・保護者・OB/OGなど県教委島前高校事務局意見・要望支援・指導承認報告相談説明PR意見協力連携魅力化推進体制関係組織図〜地域と共に歩む学校づくりを目指して〜地域と高校が連携しながら魅力化を推進
元のページ