カレッジマネジメント191号
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31リクルート カレッジマネジメント191 / Mar. - Apr. 2015特集 地域で選ばれる大学「地方創生」政策における、地方大学への期待文科省×総務省連携「地方大学を活用した雇用創出・若者定着」の取り組み現在、国を挙げた人口減少克服・地方創生の総合戦略が進むなか、とりわけ問題視されているのが、地方からの人口流出が著しい大学等進学時と大学等卒業後の最初の就職時だ。このたび発表された施策は、この大学等の入口と出口に当たる2時点に焦点を当て、次のような方向を目指すものとなっている。●より多くの地方の若者が、地方大学等へ進学 ●地方大学等を卒業したより多くの若者が、就職時に地元企業等を選択 ●都市部の大学等に進学した若者も、就職時に地方へ環流こうした流れを作るにあたって、地方大学の果たすべき役割は大きい。文科省は従来から「地(知)の拠点整備事業」として、地域社会と連携した教育・研究・社会貢献を進める大学や、地域コミュニティーの中核的存在となろうとする大学を支援してきた。さらに今回の施策では、総務省と連携してより強力に大学をバックアップするという。高等教育において、総務省と文科省がこのように連携するのは初の試みだ。文部科学省高等教育局高等教育企画課の春山浩康課長補佐はこう話す。「大学が地域の中で教育活動を展開していくうえで、これまで以上に地方公共団体や地元企業等との連携を強め、『地方への新しいひとの流れをつくる』『地方に仕事をつくる』ことが期待されています。そのためには、支援する体制においても総務省と連動して、より効果的に行っていこうという動きになりました」。奨学金を活用して学生の地方定着を促進具体的に施策の中身をみてみよう。打ち出されたのは2つの事業。その1つめが「奨学金を活用した大学生等の地方定着の促進」(図1)だ。地元産業界と道府県等が連携して基現在、国を挙げての重要テーマとなっている「地方創生」。昨年末に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の中でも、実現には“産官学金労”全ての参加・協力が必須であるとされ、特に「地方への新しいひとの流れをつくる」という取り組みにおいて、地方大学等の活性化が検討テーマに上がっている。大学を活用した地域再生・地域活性という意味では、これまでも文部科学省による「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」等が行われてきたが、今後さらに“地元への学生定着促進”や“地域人材の育成”を目指したプランが推進されていくという。この流れを受けて、昨年12月、総務省と文部科学省の連携による新たな「地方大学を活用した雇用創出・若者定着」の施策が公表された。地方創生というキーワードで、大学にどのようなことが期待されているのか? また、それに対してどのような支援が受けられるのか? 大学の地域戦略を考えるうえでの一つのキーになるこの施策の目的と内容について、総務省と文部科学省の担当者に取材した。大学の入口と出口における人口流出が課題リポート

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