カレッジマネジメント191号
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41リクルート カレッジマネジメント191 / Mar. - Apr. 2015これから10年で激変する、介護・福祉業界の現状と未来特集という課題が見えてきており、現場で個別のケアをする人材だけではなく、こういった課題を構造的に把握し、必要な改革を行っていくことができる人材がまさに今、必要とされている。介護業界は本当にブラックか?HELPMAN!JAPANが独自に実施した職業イメージ調査(※1)でも、「社会的な意義が大きい」「今後成長していく業界」と思われつつも「体力的・精神的にきつい」「給与水準が低め」「離職率が高い」と認知され、就職・転職意向も他業界に比べて高くはない介護業界。しかし実際の待遇面をきちんと見ていくと、他業種と比べても決して劣らない場合がある。例えば、給与水準。介護労働安定センターによると、平均月給は労働者で21.3万円、施設長になると35.2万円となる。特に施設長になると賞与を含む年収は推定550万円前後と、中小企業の管理職と比べても遜色ない金額である。(※2)また、介護を語る時、話題にのぼりやすいのが離職率だ。これについても、介護職員の平均勤続年数は4.7年というデータがある。平均するとこの数字だが、離職者の約73%が勤務年数3年以内であることを鑑みると、短期間で離職する人と長く働き続ける人に2極化していると言えるだろう(※3)。この差が何で生じるかと言うと、介護以外の業界でも同じだが、個人の志向と勤務先である施設の方針がいかにマッチングしているかがキーとなる。マーケットの急激な拡大により新規参入の事業者も多く、施設としての方針やクオリティーに大きな幅が存在する介護業界であるからこそ、自分に合った働き方ができる事業者を見分ける目が必要だ。これについては図表3にチェックすべきポイントを列挙したので参考にしてほしい。資格取得をゴールとせずに、業界の構造改革を担える人材を介護は、例えば医療等と違い、治癒といったゴールもなく、また、人を相手にする分正解もない仕事である。そのため、何が正しいかではなく、どうありたいかの方針や思いによるマネジメントが大事になってくる。一方で、現在の日本の介護現場では先ほど述べたように新旧と玉石が混交しており、人材不足とも相まって、課題が山積している。この状況を打破し、待ったなしでやってくる超々高齢社会に耐えうる介護モデルを創れるのは、次世代を担う若い働き手であると私は思う。大学・専門学校といった高等教育機関は、資格を取らせるための教育ではなく、中長期的な視野や最先端を学ばせることも含め、将来予測や社会の実態に合わせて授業を変えていっていただきたい。そして、この介護という領域に思いを持って、変化に対応し、そこから新しい価値を生み出せる人材をぜひ送り出していただきたい。(※1)HELPMAN! JAPAN介護サービス業 職業イメージ調査 2014http://recruitcareer.co.jp/news/2014/09/30/20141001.pdf (※2) (※3)データはいずれも、公益財団法人 介護労働安定センター「平成25年度 介護労働実態調査結果」による理念(ビジョン)の浸透自分達はどういう施設でありたいか、地域にどう貢献したいかが、従業員一人ひとりの心に浸透しているか。理念(ビジョン)が浸透していないと一人ひとりの行動が噛み合わず、ミスやトラブルがおきやすく、人間関係に亀裂が生じ、組織がバラバラになる。理念から派生するこだわりとの相性利用者とその家族・従業員・サービス・職場・地域に対するこだわりを明言できているか。このこだわりと求職者の志向・目標・夢がマッチングの軸となる。教育体制の充実度育成体制をどれだけ充実させているか。一般学生を受け入れる施設は充実していることが多い。チャレンジする風土変革・改善活動をやり続けているところは、理念(ビジョン)の実現に向けて組織全体で一体感を持って動いている。図表3 就職先としての事業者チェックポイント
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