カレッジマネジメント191号
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46おける教育と文化の発展のためにある大富豪が巨額の資産を投入し、潤沢な資金のもとで運営されていた。自社ビル2棟には教室、同時通訳設備もある国際会議施設、韓国放送公社(KBS)顔負けの、専任の化粧スタッフも配備されている撮影設備がある(口絵参照)。週末には、スクーリングのほか、数々のサークル活動や文化祭なども展開され、サイバー大学の学生が孤立しないための配慮もなされている。オンライン教育のために、「LMS-科目開発ツール-学習コンテンツ開発管理(LCDMS)─学習コンテンツ管理(LCMS)─集約」を連携したシステム“SCU Learning WAVE”を独自開発し、特許も取得。2011年には、国際的なIMS Learning Impact Awardの銀賞まで受賞した。韓国のサイバー大学の教育の質についてはムラがあるということであろう。複数の大学が連携してオンライン教育を提供する、大学コンソーシアム型の取り組みも出てきている。例えば、タイにはタイ・サイバー大学(TCU)がある。これはタイの教育省高等教育局の直轄事業として運営され、私立大学として設置される韓国のサイバー大学とは一線を画す。タイの地方における高等教育の水準向上を目的として、2005年から開始された取り組みだ。チュラロンコン大学等のトップの大学がコンテンツを提供し、特にポリテクニク等から大学へと昇格した地方大学が、配信された教育コンテンツをもとに講義等をすることが想定されている。ある種のブレンド型学習としての利用である。タイ語やタイ文化を紹介する英語によるオンライン講座等もあり、こちらはタイ国外の受講生を想定している。こういったオンライン教育コンソーシアムは日本にもいくつかある。例えば、単科大学の多い北海道では、道内の国立大学7校(北海道大学、北海道教育大学、室蘭工業大学、小樽商科大学、帯広畜産大学、旭川医科大学、北見工業大学)が協力し、教養教育を充実させるための国立大学教養教育コンソーシアム北海道を形成した。またより歴史ある取り組みとしては、帝塚山大学を中心とする複数の私立大学が形成する、特定非営利活動法人サイバー・キャンパス・コンソーシアムTIESがある。こちらは現在、ナノレクチャーと電子書籍を基盤としたユビキタスラーニングの機能「CHiLOs」を提供している。大学オンライン教育コンソーシアムは構想としては優れた趣旨に基づくものが多いが、うまくいかない場合も散見される。大学間の連携が十分でなく、受講者がその狭間で十分な学習支援を得られず脱落するのだ。受講者が減少すると大学側の力の入れ具合も縮小し、悪循環に陥る。せっかくの優れた趣旨を活かせるように、学習支援にまで十分配慮をしていきたいものである。「われわれは、MOOCにも質保証が必要と考える」。2013年に開催された欧州遠隔教育大学連合(EADTU)の年次大会で強く打ち出されたメッセージである。欧州は遠隔教育の歴史が長い。サー・アイザック・ピットマンが1840年代に絵はがきに速記で教材と課題を記し、受講者から添削課題の返信をもらうといった方式をシステム化したのが遠隔教育の始まりと言われているが、1848年にはロンドン大学が学位授与を可能とする初の遠隔教育プログラムを提供開始した。時代は下り、その後、労働党が社会学者マイケル・ヤングの理念に基づき、オープン・ユニバーシティを1969年に設立した。入学選抜がなく誰にも門戸を開放したため、階級社会の英国において、誰にでも学位を取得できる道を開き、大きく発展した。当時普及しだしたラジオやテレビを利用し、リーチが広くなったことも大きく影響している。こうしたモデルは欧州のその他の諸国にも拡がっていった。リクルート カレッジマネジメント191 / Mar. - Apr. 2015芸術系44 医学系4 工学系18 教育系13 社会系138 人文系28 出典:韓国教育学術情報院(KERIS)教育情報化白書2011 (http://english.keris.or.kr/whitepaper/WhitePaper_japan_2011_wpap.pdf) 様々な大学オンライン教育コンソーシアムMOOCにも質保証を求める欧州図表5 韓国サイバー大学の専攻学科の分布
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