カレッジマネジメント191号
49/62

51リクルート カレッジマネジメント191 / Mar. - Apr. 20152011年に大学設置基準が改正され、「大学は、生涯を通じた持続的な就業力の育成を目指し、教育課程の内外を通じて社会的・職業的自立に向けた指導等に取り組むこと」が明記され、就業力育成は大学教育の重要な課題となっている。各大学が活動の方向性を模索する中、地域産業人材の育成や地域経済の活性化にもつながるような就業力育成の取り組みが注目されている。この連載では、産業界との連携や地元自治体との協働によって学生の就業力を高めることに成功している事例などを、積極的に紹介していきたい。今回は、2009年度にサービス創造学部、2014年度に人間社会学部を創設、2015年度にも国際教養学部の開設を控える千葉商科大学で、島田晴雄学長にお話をうかがった。短期の補助金プロジェクトのみに頼らず、中長期の教学の設計に就業力強化を組み込む方針を貫いている。機会を与えて伸ばす教育千葉商科大学(CUC、以下千葉商大)の島田晴雄学長は「就業力を強化することが大切っていうのは文科省が言い出したことですけれど、われわれも全く同感です」と言いつつ、「大学生の就業力育成支援事業」をはじめとする補助金事業には、「抽象的。現場を知らない空論」と批判的だ。就業力強化に「紐つきのカネ」は不要と手厳しい。その一方で学生に対しては、長所短所を見極めつつ将来を案ずる「親心」を見せる。企業とのアライアンスを強化し、就業力を育成「千葉商大の学生って、小さい時からあまり褒められたことがない学生が少なくない。また、うちの大学は個性を重んじると言ってるので、これはイージーだと思って入学してくる学生も存在する。例えばある時陸上競技場にいた女子学生に、『おい、俺が誰か分かるか』って声をかけたら、『学長でしょー!』『サングラス似合うね、学長。ちゃらいね』と。そんな口の利き方ですよ。そうした学生を鍛えてあげないと。でもその子なんか、チアリーダーやって大評判で、すっかり自信をつけた。なんだったら踊ってみせましょうかなんて。みんないい子なんだ。人柄もいいし、やりたいことを見つけたら、一生懸命やるんだから。そういう学生は企業に評価される。学生は機会を与えれば伸びるんです」。これが島田学長の考える「具体的な就業力」の一例だ。CUCアライアンス企業ネットワーク素直ないい子ではあるが、就職試験には苦戦する千葉商大の学生。素直な人材が欲しいと思っているが思うように採用できない中堅中小企業。両者が提携する「CUCアライアンス企業」の制度は2008年に始まり、現在約620社(2015年1月現在)が名を連ねる(図表1)。アライアンス企業の関係者は年間を通じて頻繁にキャンパ島田晴雄 学長千葉商科大学就業力を育成する連載 ㉒

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です