カレッジマネジメント191号
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いま、大学は、地域社会との関わりを根本的に考え直さなければならない。これまで、大学の「教育・研究成果の社会への還元」という表現がしばしば用いられてきた。こうした表現の暗黙の前提には、大学の方が社会より進んでいるという認識が存在していたように思われる。確かに大学が社会をリードする知的資源を有していることは否定できない。したがって、「センターズ・オブ・コミュニティー」(COC)のように、大学が地域社会発展の中核になりうるといった考え方が提起される。だが、大学は長い間、閉鎖的な存在であったから、地域社会より遅れている面が少なくない。したがって、地域社会に新しい教育需要が発生しても、大学は気づかない。気づいたところで的確に対応することができない。新しい需要に対して、教育能力を有する教員を揃えることもできない。このように見てくると、設置形態を問わず、高校から進学してくる学生に受け入れられるからといっても、地域社会から受け入れられない大学が少なからず存在することが明らかであろう。現在、わが国は、急速に超高齢社会に移行しつつある。それに伴い新しい教育需要が生じつつある。学生は若者だけとは限らない。成人が数多く含まれる。新しい成人教育が大きな伸びを示すことが予想される。しかも、大都市においても、地方においても、こうした教育需要は大きく伸びると思われる。要は、学外の変化に目を向け、積極的に対応することである。換言すれば、切り口を変えた大学改革を進めなければならない。ところで、地域社会に関わる新しい教育需要は多様に生じうる。グローバル化の進展、技術進歩、持続可能な発展、等々、多様な需要が見込める。ただ、ここでは、最も重視すべきものとして、超高齢社会の到来を挙げておこう。この面で、わが国が世界の最先端を走っているからである。教育・研究においても、世界の最先端分野を切り拓く可能性が大きい。超高齢社会の到来2まず、来るべき超高齢社会の状況を確認しておこう。いわゆる2025年問題がクローズアップされている。 視点の転換1リクルート カレッジマネジメント191 / Mar. - Apr. 2015CEOのための大学マネジメント(最終回)清成忠男 事業構想大学院大学学長地域社会に選ばれる大学人口減少が依然として続いている。ただ、地域間格差が拡大している。人口減少社会を先取りする地域がどんどん広がっている。こうした地域からは、若者の流出が著しく、人口の社会減が大きい。こうした地域に立地する大学は、未来モデルを転換しない限り、定員割れは避けられない。この小稿では、人口減少社会における大学存続のための未来モデルを検討する。

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