カレッジマネジメント191号
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団塊の世代が後期高齢者に達し、同時に高齢者の絶対数が急増する。とりわけ、三大都市圏における高齢者の集積がきわめて大きい。図1の示す通りである。2025年における高齢者の数は、東京圏が955万人(26.1%)、東海圏473万人(12.9%)、関西圏554.7万人(15.2%)となる。三大都市圏の合計は全体の54.2%に達する。高齢者数が30万人以上の都道府県が圧倒的に多い。こうした状況は、2025年までには、医療や介護といったヘルスケア・サービスの需要が大きく伸びるだけでなく、ライフサイエンス、医療機器、創薬などの伸びが見込まれる。さらに、一般の消費需要も変化し、住い方、交通、都市のあり方まで大きく変化することになろう。しかも、地域によって実情がかなり異なるはずである。さらに、問題は、高齢者の内容である。2025年までに増加するのは65歳〜74歳の前期高齢者ではない。むしろ、この層は減少傾向にある。増加するのは、75歳以上の後期高齢者である。ここに、2025年問題の深刻さがある。こうした状況を地域別に見ると、図2の通りである。三大都市圏において、前期高齢者が減少し、後期高齢者が大きく増加することが見てとれる。従来とは異なったヘルスケア・サービスのあり方が求められる。他の問題も重要であるが、とりわけこの問題の解決が急がれる。ところで、超高齢社会の特徴を明確にするために、さしあたり高齢者数の地域別アプローチから入ったが、ここで超高齢社会の全体像に触れておこう。総人口は、2010年には1億2806万人であったが、2025年には1億2066万人に減少する。5.8%の減少である。増加するのは東京(0.1%増)と沖縄(1.5%増)だけである。これに対して、減少が著しいのは秋田(19.8%減)、青森(15.4%減)、高知(14.4%減)、岩手(14.3%減)、山形(14.0%減)、和歌山(13.3%減)、島根(13.3%減)など。また、地域経済を支える生産年齢人口の推移を見ると、すべての地域で減少する。全国では15.3%の減少、減リクルート カレッジマネジメント191 / Mar. - Apr. 20153,500,000 3,000,000 2,500,000 2,000,000 1,500,000 1,000,000 500,000 0 鳥取県 福井県 島根県 佐賀県 徳島県 山梨県 高知県 沖縄県 香川県 和歌山県石川県 富山県 滋賀県 宮崎県 大分県 秋田県 山形県 奈良県 青森県 岩手県 長崎県 愛媛県 山口県 栃木県 三重県 鹿児島県熊本県 群馬県 岡山県 岐阜県 福島県 宮城県 長野県 京都府 新潟県 茨城県 広島県 静岡県 福岡県 兵庫県 千葉県 北海道 埼玉県 愛知県 神奈川県大阪府 東京都 2010年から2025年の65歳以上人口の推計 2010年  2025年 (人) (注)三大都市圏は南関東(埼玉、千葉、東京、神奈川)、東海(岐阜、静岡、愛知、三重)、近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)の14都府県と定義し緑で示す。(出典)国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)」3.男女・年齢(5歳)階級別の推計結果(都道府県、市区町村編)65歳以上人口よりグラフ作成図1 高齢者の絶対数の推移特集 地域で選ばれる大学

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