カレッジマネジメント192号
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39リクルート カレッジマネジメント192 / May - Jun. 2015トを掲げ、現在は経営学部と政策科学部の2学部と、大学院4研究科が学んでいます。来年度には、ここに「総合心理学部(届出設置書類提出中)」が新たに加わる予定です。「京都」に育まれた立命館大学の文化が、「大阪」と接点を持つ。そこにどんな化学変化が生じるか、私は大いなる期待を抱いています。大阪は世界とつながる巨大都市であり、特にアジアとのつながりが深い。まさに「アジアのゲートウェイ」ともいえる大阪で、本学のグローバル化はますます加速するでしょう。「アジアのリーディング大学」を標榜する本学が大阪に展開することは、その意味で必然ともいえるものなのです。一方で、本学が「アジアのリーディング大学」へとさらなる飛躍を遂げるには、研究・教育の一層のレベルアップが必要だと考えています。研究においては、総合大学の強みを生かし、創意ある研究拠点であり続けたい。本学研究の特長は、立命館グローバル・イノベーション研究機構(R-GIRO<アールジャイロ>)に代表されるダイナミックな分野横断型・課題解決型の研究です。現在、本学は文部科学省・科研費採択金額私大3位ですが、これには教員の努力もさることながら、本学の文化とも言える「教職協働」を実践する担当職員の努力やノウハウの蓄積も非常に大きく貢献しています。このような強みは、今後の更なる飛躍の源泉となるでしょう。教育における伝統は、学生に「手を掛ける」こと。私の学生時代、他大学が学生の「自由」と「自主性」を尊重し過ぎるくらい尊重していたあの時代から、本学は小集団教育を実践し、時に「手を掛けすぎではないか?」と指摘されることもあるほど、一人ひとりの学生と向き合ってきました。この伝統は現在、学生同士が学び合う「ピア・エデュケーション」や、授業を支援する「教育サポーター」といった仕組みとして継承・発展を遂げています。一層の充実を図る所存です。「全学」で考え、実践する良き伝統18歳人口減少という、あらゆる大学にとって大変困難な時期に大学の総長・学長となりましたが、私としては、「生き残る」という消極的な姿勢ではなく、あくまでも「選ばれる大学」を目指していきたい。本学ならば、きっと実現できると思っています。そのためには大学全体が一丸となって課題に取り組んでいく必要がありますが、本学は文字通り「一丸」となることができる大学だからです。大学は一般に、「学部」が強固な壁で取り囲まれ、交流が希薄だといわれます。しかし本学には、そんな垣根は存在しないと言ってもいい。「全学」という大学全体を包括する概念が、教職員の隅々にまで行きわたっている稀有な大学だと私は自負しています。あえて言うならば、全構成員の声をしっかりと聞いて、決めたら着実に実行するという、この立命館の誇るべき強みが昨今、弱体化していないか?それが現在の私のひとつの課題意識です。もしそうならば、本来の姿を取り戻したい。そして、今後のさらなる教育研究の高度化に向けて、全教職員で力を合わせていきたいと思っています。学校教育法の改正により学長の権限が強化されました。とはいえ、学長が決めれば改革が進むということはありません。構成員の「信頼」に支えられて初めてリーダーシップが発揮できることに変わりはないでしょう。その信頼を得るには、目標や課題が構成員のあいだで議論し尽くされ、共有される必要があることもまた変わりないでしょう。即ち、民主的な大学運営がなされることが、結局のところ実効性のある強いリーダーシップへとつながるのだと私は信じています。学祖である西園寺公望から受け継いだ「自由と清新」という精神を大いに発揮しつつ、立命館の新たな歴史を刻んでいきたい。これからも立命館大学は、“Creating a Future Beyond Borders”していきます。私はそう決意しています。

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