カレッジマネジメント192号
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44リクルート カレッジマネジメント192 / May - Jun. 2015進路指導の担当者は、現在の進路指導についてどのように感じているのだろうか。まず全体傾向で捉えると、32%が「非常に難しい」と回答(図表1)しており、「やや難しい」と合わせると、全体の9割が進路指導に難しさを感じていることが分かる。経年で見ると、前回調査(2012年)よりも微減しているものの、進路指導の難しさの状況は大きくは変わらない。大学・短大への進学率別に見てみると、2012年と比較して、70%以上の学校で「非常に難しい」という回答が増加したのが今回の特徴だ。その要因を見てみると(図表3)、進学率95%以上の高校では、【進路環境の問題】「入試の多様化」68%、【保護者の問題】「保護者が干渉しすぎること」51%、「子どもに対する過剰な期待」50%となっており、特に保護者の問題は他進学率のカテゴリーと比べても抜きん出て高いことが分かる。では、その要因とは何だろうか。進路指導について「非常に難しい」「やや難しい」の回答者にその要因を全て選んでもらった(図表2)。トップは【学校の問題】「教員が進路指導を行うための時間の不足」が68%、続いて【生徒の問題】「進路選択・決定能力の不足」が67%、【進路環境の問題】「入試の多様化」60%となっている。以下、【生徒の問題】「学習意欲の低下」55%、「職業観・勤労観の未発達」52%、「学力低下」51%と続く。前回調査との変動をみると、「教員が進路指導を行うための時間の不足」、「入試の多様化」が10%程度増加している。反対に10%以上減少しているのは「家庭・家族環境の悪化:家計面」「産業・労働・雇用環境の変化」「高卒就職市場の変化」であった。景況感の改善の兆しを受け、就職環境の不安は相対的に減少している一方で、推薦・AO入試や一般入試など、多様化する入試方法の対応に、個々の生徒に十分時間を掛けた進路指導の対応ができない教員の多忙な実態がうかがえる。進路指導の現状は?1● 進路指導の困難度9割が難しさを感じている40%未満 40~70%未満 70%以上 40%未満 40~70%未満 70%以上 40%未満 40~70%未満 70%以上 2010年 全体 2012年 全体 2014年 全体 (n=1140) (n=1179) (n=1208) (n= 530) (n= 212) (n= 389) (n= 539) (n= 234) (n= 388) (n= 501) (n= 255) (n= 443) 90.0 91.2 92.8 89.1 90.6 90.7 86.8 94.9 95.4 89.2 94.1 96.2 2014年 大短 進学率別 2012年 大短 進学率別 2010年 大短 進学率別 非常に難しいと感じている やや難しいと感じている 難しいとは感じていない その他 難しい計 難しい計 無回答 凡例 (%) 31.6 34.6 38.4 33.2 34.4 27.5 24.7 42.7 44.6 26.1 38.0 52.6 43.6 3.4 0.5 - 56.1 3.9 1.6 0.4 63.1 8.8 1.4 0.6 50.8 3.4 1.0 0.3 52.1 3.8 0.9 0.4 62.2 10.4 2.0 0.7 63.2 7.5 1.3 0.5 56.1 8.0 0.9 0.5 55.8 9.2 0.9 0.8 54.4 5.8 1.1 0.3 56.6 6.7 0.7 1.4 58.4 8.3 0.6 1.1 図表1 進路指導を難しいと感じているか(全体/単一回答)● 進路指導の困難な要因「教員の時間不足」「入試の多様化」
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