カレッジマネジメント192号
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48リクルート カレッジマネジメント192 / May - Jun. 2015経済産業省で定義されている社会人基礎力の12の能力要素のうち、生徒が将来社会で働くにあたり、「特に必要とされる能力」、ならびに「生徒が現在持っている能力」について、教師がどのように捉えているか、それぞれ3つまで選んでもらった(図表7)。社会で必要とされる能力については、1位「主体性」56%、2位「課題発見力」43%、3位「実行力」35%、4位「発信力」30%となっており、社会人基礎力のカテゴリーでみると、「前に踏み出す力(アクション)」や「考え抜く力(シンキング)」の項目が上位にあがっているのが分かる。一方、生徒が現在持っている能力については、1位「規律性」40%、2位「傾聴力」25%、3位「柔軟性」18%となっており、両者の傾向にギャップが存在する。なかでも、「主体性」「課題発見力」については40ポイント以上の差があり、さらには「実行力」「発信力」「計画力」「ストレスコントロール力」についても差が大きい。昨今、高校では高大接続・連携や地域課題に取り組むPBL型の学習に取り組む学校が増えてきている。新しい時代を迎える社会に向けて、課題発見&解決していく力の育成に、今後ますます期待が高まっていくことだろう。参考までに、高校生が現在持っている能力について、弊社が行った『高校生価値意識調査2014』(2014年4月実施)と比較すると、上位項目の顔ぶれに違いはなく、高校生と教員の認識はほぼ一致しているのが分かる。今後必要とされる能力、生徒が持っている能力は?3図表7 社会人基礎力:「将来、特に必要とされる能力」と「生徒が現在持っている能力」 (全体/各3つまで回答)● 将来、特に必要とされる能力「主体性」「課題発見力」「実行力」● 生徒が現在持っている能力「規律性」「傾聴力」「柔軟性」(%) 生徒が現在持っている能力 将来、特に必要とされる能力 0 20 40 60 前に踏み出す力[アクション]考え抜く力[シンキング]チームで働く力[チームワーク]主体性実行力働きかけ力課題発見力計画力創造力発信力ストレスコントロール力情況把握力柔軟性傾聴力規律性将来、特に必要とされる能力(n=1140)55.735.3 8.643.117.613.930.216.317.718.219.614.2―生徒が現在持っている能力(n=1140)12.0 7.0 7.5 1.9 3.1 6.7 5.9 3.016.518.425.040.416.8「現在持っている」-「将来、特に必要とされる」差分-43.7-28.3- 1.1-41.2-14.5- 7.2-24.3-13.3- 1.2 0.2 5.426.216.8物事に進んで取り組む力現状を分析し、目的や課題を明らかにする力目的を設定し確実に行動する力自分の意見をわかりやすく伝える力相手の意見を丁寧に聞く力意見や立場の違いを理解する力自分と周囲の人々や物事との関係を理解する力課題解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力ストレスの発生源に対応する力社会のルールや人との約束を守る力新しい価値を生み出す力他人に働きかけ巻き込む力ひとつもあてはまるものはない
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