カレマネ
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12リクルート カレッジマネジメント193 / Jul. - Aug. 2015実は、働き手のダイバーシティ(多様性)の推進は、15年来、雇用のメインイシューとなってきた。企業はもはや「ダイバーシティ疲れ」にさえなっている。にも拘わらず、2025年にかけてはさらに異なるレベルでそれを推進する必要がある。これまで企業が取り組んできたダイバーシティには二つの系譜がある。第一の系譜は、グローバル人材の経営ボードへの登用や、女性の管理職への登用等、“タレント人材”の登活用だ。これは、これまでの慣習により、能力に見合うだけの活用がなされていなかった人材を活かすこ人口減少に入った日本では、このように、衰退シナリオのみならず、繁栄シナリオさえも悲観的な未来につながりえるというのが、2025年にかけて、日本の労働市場が直面している構造課題の正体である。働ける確率が倍になって、初めて2015年を越えるでは、どうすれば活力ある2025年を迎えることができるのだろうか。2015年以上の経済規模を実現するためには、仕事に就ける確率がこれまでの2倍、仕事を失う確率が1/2倍になって、初めて2015年を上回る。このような楽観的シナリオにもとづくシミュレーションでは、就業者が2015年から115万人増加し6389万人に、無業者は172万人減少し4353万人に、所得平均は6.2万円増加し362万円になる。その結果、労働総所得(就業者数に所得平均を乗じたもの)も、2015年から8兆円増加し、231兆円となる(図表9)。ここまで述べてきたように、そもそも衰退傾向にあり、さらに下方圧力がかかっている中で、仕事に就ける確率をこれまでの2倍、仕事を失う確率を1/2倍にするのは、容易ではない。非常に強力な取り組みが不可欠となる。その取り組みとは、色々な価値観や制約を持つ多様な人材が働くことができる環境を創り出すことだ。多様な人材が働ける環境を創り出すことができれば、繁栄シナリオに内在する人材不足というリスクを超克できる。ダイバーシティ(多様性)の実現図表9 衰退を止められるか?4000 4500 5000 5500 6000 6500 7000 就業者数(万人) 労働総所得(兆円) 2025年 2020年 2015年 2010年 2005年 2000年 0 50 100 150 200 250 300 2025年 2020年 2015年 2010年 2005年 2000年 (万人) (兆円) 悲観5717 ベース 6091 楽観6389 悲観171 ベース 208 楽観231 多様な属性を活かすこれまでのダイバーシティ
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