カレマネ
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14リクルート カレッジマネジメント193 / Jul. - Aug. 2015ここまで2025年の労働市場を洞察してきた。超高齢化とそれによる人材不足が、労働市場に大きな影響を与えるため、ここまでの考察で若年層にはほとんど言及してこなかった。2025年に向けて若年層を取り巻く環境はどのようになるのだろうか。前述したように、少子化の影響を受け、2025年に向けて15~24歳の就業者は減少を続ける。このように減少が続く中ではあるが、企業の若年を採用したいという意欲は衰える気配がない。学卒者の採用は、人材の育成、組織構成のバランス、人件費の抑制、慣習の継続等、企業にとって様々な意味で強い合理性を持っており、そのまま維持したいという意向が強いのだ。そのため、2025年にかけて、学卒者の争奪戦は一層強まるだろう。2025年は、若年層にとって、入職時点ではこのように有利な状況となるが、入社後は必ずしも恵まれているとはいえない。マイノリティとして、前述したようにマネジメントの機能不全が起きている職場に参入することになるため、十分に面倒を見てもらえない可能性があるのだ。そのため、より自律的にキャリアを形成していく必要がある。キャリア自律の必要条件2025年に自律的に働くには、多様な人材と、主体的に関わりながら、創造性の高い働き方をすることが期待される。多様な人材には、外国人だけでなく、年配者や子育てや介護で時間的な制約を抱える社員等が含まれる。様々な価値観やバックグラウンド、ライフスタイルの中で、職場を共にする仲間だ。その一方で、人材の多様性が増すほど、同じゴールを共有し、同じように働くことは難しくなる。上長が組織マネジメントに手をとられ、十分に面倒を見てくれない、ということが起こりえる。しかも、少子化の影響で切磋琢磨できる同期は少ない。自ら周囲に能動的に教えをこうなどして、仕事の仕方を学んでいく必要がある。しかも今後、企業の競争環境は不確実で、厳しくなる一方だ。同一産業であっても、企業によって明暗がわかれるようになる。そのような厳しい競争下で企業は社員に、より高い付加価値を求めるようになる。例えば、イノベーティブな仕事。例えば、時間当たりの生産性の向上。そういった仕事ができるかは、本人の創造性次第だ。2025年に「働く」ということ出典:リクルートワークス研究所 達成欲求 当事者意識 変化志向・好奇心 自己信頼 対課題基礎力 行動特性 地頭 基礎力 専門力 狭義の 職業能力 広義の 職業能力 職業的態度 環境適応性 職業的信念 対自己基礎力 思考力 処理力 対人基礎力 図表10 職業能力の構造さらに稀少になる若年層

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