カレマネ
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28今や、どの大学も将来計画を持ち、それを計画、構想、プラン、ビジョン等として前面に掲げるようになった。大学外部からの改革要請への対応としても、大学のサバイバル戦略としても、計画が必要だ。どの大学がどのような計画を持つかが、注目される時代になった。だが、それは往々にして計画倒れになる。現状分析に立脚せず単なる努力目標の羅列の場合、計画を実行に移すための手段が明確でない、また計画が学内に浸透しない等理由は色々ある。計画は立てるものの、それを遵守して大学を経営することはさほど容易なことではない。計画にもとづく大学経営は、どのようにして可能になるのか。関西学院大学をその一事例とし、どのような計画を持つのか、それにどのようにして実効性を持たせているのかをみていこう。現在、関西学院大学では、2008年度に策定された「新基本構想」と、その構想のもとにある新中期計画を持つ(図表1)。「新基本構想」は、創立120周年を迎える2009年にはじまり、それから10年後を視野に入れての、「目指す大学像」「目指す人間像」と6つのビジョンを定めたものである。その構想にもとづき、まずは2009年度から2013年度までの前半の5年間に実施すべき計画を「前期新中期計画」とし、その進捗状況にもとづき、2014年度から2018年度までの後半5年間の「後期新中期計画」として策定した。ただ、2014年度から後半の5年間がスタートしたところで、「スーパーグローバル大学創成支援」に採択され、併設高校がスーパーグローバルハイスクールの指定を受けたことで「後期新中期計画」を見直し、2015年度からの「中期計画」が新たに策定され、そのもとで運営がなされている。米国・南メソヂスト監督教会の宣教師によって神戸に開校され、2015年には126周年を迎える関西学院は、学外者にもよく知られている“Mastery for Service(奉仕のための練達)”をスクールモットーとして掲げ、キリスト教主義にもとづいた全人教育を行ってきたという歴史を持つ。そのため、基本的に学生の教育には力を入れてきたうえ、国際的な雰囲気を強く持っている。従って、新基本構想を立てるに当たって、自然にそれがベースになり、それを明確に意識して一層推進する方向で進められた。前期新中期計画においても、後期新中期計画においても、「教育」と「国際化」に大きな比重が掛けられ世界に通用する学生の育成を目指した中期計画とチャレンジリクルート カレッジマネジメント193 / Jul. - Aug. 2015教育と国際化を重視した計画新基本構想 (2009~2018年度)125周年130周年120周年前期新中期計画中期計画村田 治 学長関西学院大学C A S E1大 学はどう変わる?図表1 中期計画の全体スケジュール2010 2011 2012 2013200920142015 2016 2017 20182019

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