カレマネ
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41リクルート カレッジマネジメント193 / Jul. - Aug. 2015(outcomes)重視の動きは避けられない傾向である。まさに、日本においても「入学(がゴール)の国」から「卒業(が評価される)の国」実現に向けた、大きな変革期であると考えられる(図表2)。入口→中身→出口まで一貫して、その大学らしい人材をどのように育成していくのか。どんな学生に来てほしいのか、高校卒業までにどのような準備をしてきてほしいのか。その意味では、まさに入試は「受験生へのメッセージ」。各大学がどのようなメッセージを発信していくのか、これからの注目ポイントとなりそうだ。※中長期を見据えた私立大学のセグメント別マーケティング戦略2025年は、18歳人口が再び減少し始める、いわゆる「2018年問題」から8年後にあたる。この間に18歳人口は、10万人以上減少する。大学進学率を現状の50%と仮置きすると、5万人が市場からいなくなる計算だ。そうすると、入学定員500人規模の大学が100校なくなっても、おかしくないくらいのマーケットインパクトになる。国立大学は、2013年の「国立大学改革プラン」に基づいた第3期中期目標が2016年度から動き出す。一方、マーケットの影響を直接受けやすい私立大学は、より社会環境の変化を見据えたマーケティング戦略が必要になる。私立大学は603校(平成26年学校基本調査)存在しており、戦略を考える上では、ある程度のセグメントを分けて考えざるを得ない。ここでは、「大学の規模」と「志願倍率」を軸にセグメントし、それぞれの大学の置かれたポジションごとに、マーケティング上の課題を考えてみたい。あくまで、今後の戦略の考え方の一つとして捉えていただきたい。図表3は、横軸に入学定員規模をおいている。日本私立学校振興・共済事業団私学経営情報センター(以下、私学事業団)が発表する志願者動向では、全体として入学定員800人未満の区分において定員未充足となっていることなどを参考に、750人と2500人で区分を分けた。入学定員規模750人では在籍者で3000人規模、定員規模2500人では10000人特集 2025年の大学図表1 大学の特色を活かし、入口と出口を理念で一貫させる経営 学生募集 アドミッション・ポリシー エントランス・マネジメント こんな人材を育てたいという創業者の強い想い (学校のDNA) ミッション・ビジョンの明確化 エデュケーション・マネジメント ミッション・ビジョン 教育の理念 建学の精神 キャリア・デベロップメント カリキュラム・ポリシー ディプロマ・ポリシー 教 育 経 営 キャリア支援 独自性・学校の魅力 (個性)は何か? それができるのは、どのような理念に基づき、どのような教育の仕組みがあるからなのか そのためには、どんな志向や意欲をもった学生に来てほしいのか、どのような要件(学力、意欲、活動実績等)が必要なのか=カレッジ・レディネス 学校を卒業すると、何ができるようになるのか、どのような人材を社会に送り出すのか 入口(入学)⇒中身(教育・研究)⇒出口(就職)まで 一貫した経営、教育マネジメントが重要 どのような学生に 来てほしいのか? どのような卒業生を 社会に送り出すのか? 図表2 高校・大学を通じて求められているもの受動的な生徒・学生をいかに主体的、能動的な 生徒・学生に変えていくか 「入学の国」から「卒業の国」実現に向けての大きなプロセスの中にある 先生が何を教えたか(input) 学生が何を学び、何ができるようになったか (outcomes) 正解のない中で、主体的に取り組み、 チャレンジできる人材の育成 Learn How To Learn (継続して学ぶ力をつける) Input重視⇒outcomes重視へ 学び方改革 (Teaching⇒Learningへ) ※参考:詳しくは、カレッジマネジメント2014年184号「入試は受験生へのメッセージ」特集も併せてご参照いただきたい
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