カレマネ
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45リクルート カレッジマネジメント193 / Jul. - Aug. 2015居振る舞いや、わが国で育まれた多様な伝統文化・芸能・言語表現を学生達は体験し、堪能しており、なかなか好評を博しております。また、従来より「神道科目」や「日本語科目」といった科目も設置しており、さらに、正課外の活動として、成人加冠式、観月祭といった伝統行事も行っています。このように、「日本を学ぶ」多種多様な機会を提供している点が、本学教育の最大の特長といえます。本学は、文学部、神道文化学部、法学部、経済学部、人間開発学部という5学部を擁する「文科系総合大学」であり、学生約1万人という中堅規模の大学です。この規模だからこそのメリットとして、学生は「横断的」な、または「総合的」な学修が可能です。幅広く学びたい学生は、124単位中、教養科目と専門科目の比率がほぼ半々でも学修可能なカリキュラムとなっているのです。本学より大規模な、学部数の多い大学では、こうした学びは難しいのではないでしょうか。この点も、本学の特長だと考えています。「時間軸」「空間軸」を身につけさせたい2011年、学長に就任以来、私は「國學院ブランドの確立と強化」をひとつの目標としてきました。ブランド戦略というものの要諦を考える時、最大の効果をあげるものは、単なるイメージや広告宣伝といったものではなく、やはり「品質」そのものでしょう。大学にとって、それは「人材」。いかに優れた卒業生を輩出できるかが最大の課題と認識しています。本学卒業生に対する企業側の見立てを総合しますと、まじめ、誠実、地味、根気強い…といったものが大半を占めます。神道精神の本質とは「寛容性と謙虚さ」だと申し上げましたが、卒業生の評価は、これらと相通じるものがあります。従って、本学の教育成果は、卒業生に確かに表れているともいえますが、私はこのままで良いとは考えていません。日本人の立場から、現代の外交、政治、経済といった諸相を眺めるにつけ、今後いっそうグローバル化の進む社会に踏み出す卒業生達には、ぜひとも大学時代に「時間軸」「空間軸」という感覚を身につけてもらいたい。私は、そう切に願っています。即ち自分は今、いかなる時間軸・空間軸の、どの地点にいる人間なのかを直ちに認識できる力、また、それをもって自らをコントロールできる力を備えたい。その力の有無は、社会人として決定的な差となるようにも思うのです。その基礎を育むには、教養教育が鍵を握ります。そういった観点から教養教育を見直すことも検討しています。本学は、長い歴史を振り返ったうえで、21世紀にさらなる発展をするべく、短中期計画として「21世紀研究教育計画」を策定しています。2002年に第1次計画、2007年に第2次計画、2012年に第3次計画を策定。第3次計画では、第1次、第2次で定めた大学の使命と行動計画を架橋するものとして、次のような大学の将来像を追加しました。「建学の精神を活かした個性ある教育と研究の実現」「日本社会の中核を担い、グローバル化する時代に対応できる人材の育成」「國學院ブランドの確立と強化」。これにより、学内外において、本学の進むべき道筋が明確になりました。同時に、5年をめどとするPDCAサイクルの導入によって、計画の実効性が上がったように感じています。計画遂行の中間地点に当たる2014年の見直しでは、「計画を実行するにあたっての指標の設定」「各基盤整備間の連携の強化」「計画の修訂版の公表」等を決定しました。そして実際に、2014年10月には「國學院大學21世紀研究教育計画(第3次)修訂版」を公表し、ホームページにアップしました。今後もこのようなかたちでわれわれの取り組みを公表し、関係者のいっそうの理解を得ながら、計画の実行に邁進する所存でおります。

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