カレマネ
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49の採用意欲が高まると多くの学生は就職しやすさの観点から大手企業を中心に志望する傾向が強まるといわれているがそうはなっていない。むしろ、中小企業への志望がやや強まっている結果となっている。この背景としては、大学を中心に、学生に対して中小企業に目を向けさせるような指導や取り組みを続けてきた成果が出てきているとともに、採用スケジュールの変更に伴い、中小企業を中心に選考活動が先に進んでおり、学生が中小企業に目を向けていたという可能性もある。経団連の倫理憲章に賛同し採用スケジュールを変更させる大手企業は調査時期(2015年2月~3月)においては、まだ採用活動をスタートさせていない。建設業、流通業の倍率が大幅上昇図表6には、業種別の求人倍率を示している。倍率は全ての業種において上昇しているが、特に顕著なのが建設業と流通業である。建設業は前年5.61倍から6.18倍まで上昇し、ほかの業種よりも高い求人倍率となっている。また、流通業は前年5.49倍から5.65倍に上昇し、比較可能な範囲で最高水準である2008年卒(7.31倍)ほどではないが高い水準となっているといえる。以上のように、2016年卒の採用環リクルート カレッジマネジメント193 / Jul. - Aug. 2015境は、採用スケジュールが変更になっても企業の採用意欲には影響が表れていない。むしろ景況感の拡大や人手不足等により積極的に採用する意欲がうかがえる。ただし、採用基準を下げてまで積極的に採用するとも限らないという声が多くあるため、求人倍率が上昇したからといって、全ての学生にとって就職環境が良くなるとはいえない。またスケジュール変更により、一部の学生の就職活動に対する準備が不十分という声もある。そのため、より多くの学生が希望する進路を決めるためにも、学生に対する就職支援を引き続き強化していく必要があるだろう。図表6 業種別 求人倍率の推移(倍) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 2016年 3月卒 2015年 3月卒 2014年 3月卒 2013年 3月卒 2012年 3月卒 2011年 3月卒 2010年 3月卒 2009年 3月卒 2008年 3月卒 2007年 3月卒 2006年 3月卒 2005年 3月卒 2004年 3月卒 2003年 3月卒 2002年 3月卒 2001年 3月卒 3.48 1.35 0.37 0.44 0.49 0.40 0.35 0.35 0.35 0.37 0.39 0.35 0.21 0.20 0.19 0.44 0.45 0.44 0.45 0.50 0.61 0.72 0.75 0.67 0.48 0.47 0.42 0.41 0.54 0.56 1.69 1.62 1.59 1.63 1.93 2.33 2.64 2.64 1.66 1.35 1.27 1.37 1.31 1.59 1.73 4.49 4.39 4.69 4.49 5.29 6.38 7.31 7.15 4.66 4.14 4.17 5.04 4.95 5.32 4.77 5.61 6.18 3.94 3.73 4.76 5.49 5.65 0.18 0.22 0.23 0.19 サービス・情報業 金融業 流通業 製造業 建設業 建設業・製造業他

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