カレマネ
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50リクルート カレッジマネジメント193 / Jul. - Aug. 20152011年に大学設置基準が改正され、「大学は、生涯を通じた持続的な就業力の育成を目指し、教育課程の内外を通じて社会的・職業的自立に向けた指導等に取り組むこと」が明記され、就業力育成は大学教育の重要な課題となっている。各大学が活動の方向性を模索する中、地域産業人材の育成や地域経済の活性化にもつながるような就業力育成の取り組みが注目されている。この連載では、産業界との連携や地元自治体との協働によって学生の就業力を高めることに成功している事例等を、積極的に紹介していきたい。今回は、長らくインターンシップに取り組み、全学共通のキャリア教育を推進し続ける大阪経済大学で、德永光俊学長と黒正洋史進路支援部長にお話をうかがった。初代学長のことば『道理は天地を貫く』大阪経済大学は、「多彩な職業人を育てます」を2007年策定のミッションステートメントに盛り込み、2010年の德永学長就任以来、「ゼミの大経大」「マナーの大経大」と並んで「就職の大経大」を謳う。しかし德永光俊学長は、「就職は目的ではなく単なる手段」と言う。「学生たちは自分で伸びる力を持っているので、それをいかに持続的な就業力として、もっと大きく言えば人間力として、具体化させるか。そういう考え方を大学がきちっと持っておかないと駄目だと、私は思っています」キャリア教育の充実は、大学の生き残りのための差別化戦略と位置づけられることも多いが、德永学長は異議を唱える。「少少人数教育のゼミを武器に、全学共通でキャリア教育を推進子化に進んでいく中で、日本社会全体として、21世紀を担う若者たちをどう育てるか。そのために大学は、自分たちの大学のみの生き残りを考えるのではなく、共存共栄しないといけないのです」というのだ。「差別化なんて考えずに、それぞれ持っている建学の理念を大事にしたらいいだけなのです。私の場合、初代学長の黒正巌博士の『道理は天地を貫く』という大切な理念を伝えていくのが責務だし、大経大でしかできない教育と思っているんです」(德永学長)充実したインターンシップ德永学長は、「基本的な考え方さえしっかり持っていたら、具体的なことは教職員や外部スタッフに任せたら良いと思っている」と言い、キャリア教育の現場への信頼は厚い。その進路支援部の黒正洋史部長は、先駆的なインターンシップへの取り組みからキャリア教育への流れをこう説明する。「インターンシップを始めたのは1998年。まだ取り組みされる大学は少ない時期だったと聞いています。キャリア教育は、自らが職業選択することができ、持続的な就業力育成をという観点から、2004年に2科目を正課に導入しました。さらに年々、大学におけるキャリア教育の充実が言われるようになり、大学設置基準の改正も契機となって、現行の体系が2011年に始ま黒正洋史 進路支援部長德永光俊 学長大阪経済大学就業力を育成する連載 ㉔

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