カレマネ
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52リクルート カレッジマネジメント193 / Jul. - Aug. 2015人ずつ委員が選出される「進路支援委員会」がある。進路支援部とのミーティングは隔週ペースで、教職間のコミュニケーションは密といえるだろう。「本学の特徴であるゼミナールの所属率が約97%とすごく高いこともあって、就職支援に関しても、ゼミと協力してやっている取り組みの成果は大きいと思う」(德永学長)進路支援部の職員がガイダンス等でゼミに出向くことは教員の理解も得られており、それによって職員が学生の状況を把握できるという。教員も、研究と教育をもっぱらとしつつ、ゼミ生の進路に親身になって相談をうけるというつながりを持ちやすい。「教職員と学生とのそういう関係性を作ることも、大経大のつながる教育としてすごく大事だと思っています」(德永学長)インターンシップの維持・拡大が課題直面する課題として黒正部長が挙げるのが、インターンシップの維持・拡充だ。「実は今年ぐらいから、受け入れ企業の取り合いになっているのです。アベノミクスの日本再興戦略にインターンシップの充実が盛り込まれたことや、就職活動のスケジュール変更が作用していると思います。本学はこの4、5年、安定的に200社の受け入れ企業がありますが、危機感が非常にあります」対応策としては、1つは授業の質の担保、もう1つは企業へのメリットの提供だ。「社会的な使命で受け入れて頂いているところが多いのですけれども、メリットを感じてもらわないと、これからは続いていかないですね。今はインターンシップを就職につなげてはいけないという申し合わせがありますが、そこをつなげることも含めて、何らかの取り組みが将来は必要じゃないかとは思います」(黒正部長)つながる力NO.1を目指して今後の方向性として黒正部長は、インターンシップ学生を見てきた経験から「低学年インターンシップ」の充実を構想しているという。「インターンシップ後に留年して留学する学生が、毎年必ずいる。企業に行って、自分に足らないもの、例えば語学力が足らないと気づいて、改めて勉強したいというので。そういうときに留年しなくていい仕組みを作りたい。SWATのような横のつながりにもなるし、社会との関係性をできるだけ早期に持たせてあげたい。実は昨年の2年生に、トライアル的にやったのです。募集には多少苦労しましたが、先生方の協力で30名ほど集めることができ、成果も見られたので、スモールスタートとして100名からでも始めたいと思っています」德永学長の構想は、「ゼミの大経大」「就職の大経大」「マナーの大経大」の深化だ。「2010年に学長に就任して以来、言ってきて、ある程度定着したし評価も得られました。今後は『ゼミでつながる』『中堅企業・大手企業とつながる』、そして『あいさつでつながる』と言っているんです。まとめていうと『つながる力No.1』が今後の方向性です」例えば「ゼミでつながる」は、ゼミの教員と学生、学生同士といったつながりだけではない。成果を発表しあう「ZEMI-1グランプリ」で、学内のゼミ同士がつながる。他大学と競い合う「西日本インカレ」や企業主催のコンテストへの参加等で学外とつながる。ゼミごとに地域おこし活動に関わる、地域とのつながりもある。「意外と抜けていると思うのが、保護者の皆さんとつながることですよ。あるゼミで、親御さんに卒論の発表を見せたのですが、これは素晴らしい体験だった。年に100万円もの学費を出してくれるのに対して、学びの成果を見せるというこの活動、大事だと思う」(德永学長)『大経大プロフェッショナル』の育成と発信もう1つは「大経大プロフェッショナル」の育成と大学内外への発信だ。最優秀の人材をどんどん外部にアピールしていくことを考えているという。「ZEMI-1の学生、クラブで頑張っている学生を象徴的に出していく。本人の自信にもなるし、企業が見れば『ああ、大経大の学生だったら大丈夫』っていうことで就業力にもつながる。学生個人だけでなく、ゼミ単位でとか、あるいは教職員も、『大経大プロフェッショナル』にしたらいいと思う。そうして、大学自体の力が引き上げられていく中で、高等教育機関としての大学の本来の役割を実現できると思っています」(德永学長)(角方正幸 リアセックキャリア総合研究所 所長)
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