カレマネ
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ィブラーニング型の授業を中心に学習していく。1年次には集中的に英語を学び、2年次からは芸術科目から理数系まで全ての分野を必修で学ぶ。さらにそれらを結びつける仕掛けとして、教室の透明性を活かして先生同士が授業を聴講し、別々の講座であっても内容を連携させていく取り組みや、学生が一つの課題テーマについて卒業までかけてレポートを作成していくカリキュラム横断型の作文プログラム等があり、これらを通して、幅広い教養を身につけたうえで異なる分野の知識を結び付けて自分の考えを形成する、という体験を創り出していく。もう一つ、iCLAキャンパスの環境としての特徴が、「学住接近」と「国際性」だ。学習棟と学生寮が同じ建物内にある環境は非常にユニークで、海外のリベラルアーツ系大学でも、同じ敷地内に学生寮があることは多いが、同一建物内というのは珍しいという。1年次は全寮制となっているため、iCLAに入学する全ての学生が、この学生寮で大学生活をスタートする。自分の部屋と教室がスリッパで行き来できる距離感、日本人と留学生が一緒に生活する寮、そして90%が英語で行われる授業も相まって、学生は自然と学びと生活、日本と海外の壁のないボーダーレスな環境に身を置くことになる。これにより、学生の学びや国境に対する固定観念をなくしていくことを狙っている。iCLAのキャンパスや施設・設備はまさに、ここで行いたい教育、学生にしてほしい体験を実現するための装置なのだ。「才能と情熱を以て追求できる目標が見つかった時、学生は潜在能力の一番高いところを実現できる。iCLAは、そのクロスポイントを発見し、磨くことを全力を挙げて支援する。そのためのカリキュラム、教員の質、それからこのキャンパス環境に関してはグローバルステージと言っていいものを用意したので、これからは、4年間で学生を入学時点からどれだけ伸ばせるかに全力を注いでいきたい」とラクトリン先生。今年初めての新入生が入学したが、中には有名国立大学を蹴ってiCLAに入ってきた学生もいるという。ラクトリン先生の言う、一人ひとりのクロスポイントを見つけさせ、伸ばす教育がどこまで実現できるか。この新キャンパスで学ぶ学生達の、4年後の成長が愉しみだ。(本誌 林 知里)山梨学院大学は、富士山を望む甲府の地に1946年に創設された、5学部6学科に3474人の学生が学ぶ中堅の私立大学だ。陸上や水泳など、スポーツの名門校として認識している人も多いだろう。同大学に今年4月に新設された、国際リベラルアーツ学部(iCLA)とともに大学敷地内にオープンしたのが、学び舎と宿舎が一体となったキャンパスだ。学部のカリキュラムと密接に連動しているというこの新キャンパスの設計思想について、秋田の国際教養大学でのこれまでの経験を活かし、さらに進化させてiCLAを設計したという学部長のラクトリン先生にお話をうかがった。「iCLAで実現しようとしているのは、本物のリベラルアーツ。そのためには、幅広い教養を身につけること、学問や国境の壁といった固定観念をなくすこと、そして学んだことを結び付けながら、学生一人ひとりが自分の才能と情熱を感じられるクロスポイントを発見できることを目指したいと考えています。新キャンパスは、それを実現するのに最適な設計となっている」。iCLAキャンパスの学び舎としての特徴は、「透明性」と「学生主体」。全ての教室は、先生がたの研究室に至るまで、全て中が見渡せるガラス張りとなっている。ユニークな六角形をしている教室は、誰が知識を与える側(先生)で誰が受ける側かということが固定されがちな四角形の教室と違い、誰でも声を上げた人が中心となり、上座も下座もなく知のやりとりができることを狙った設計だという。また、サイエンスラボや茶室、武道場等の本格施設も設置されており、右脳を刺激するような芸術のクラスは体験型のワークショップの形で提供することが可能だ。学生はこの教室棟で、1クラス最大20人という小さなクラスで行われるアクテ透明性・開放性を体現する、ガラス張りの教室。64リクルート カレッジマネジメント193 / Jul. - Aug. 2015©TOYO ITO & ASSOCIATES, ARCHITECTS

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