カレマネ
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若きマーメイド達の鼓動  水面が揺れるほどの音響で音楽が流れ出すと、水中から、手が、足が、次々飛び出してくる。指先まで一糸乱れぬ、統一された動きが展開する。国士舘大学・メイプルセンチュリーホール内にあるプールで練習に励む彼女達が「シンクロナイズドスイミング部」のメンバー達だ。ロンドンオリンピックの日本代表選手として活躍された足立夢実氏を監督として迎え、2014年に新たに発足した。現在主将としてメンバーを率いるのが本間友里さんだ。「子どもの頃から見ていた憧れの足立選手が、自分達の監督となり、直接指導して下さるのは、とてもうれしく、光栄なことです」と語る本間さんも3歳の頃からスイミングスクールに通い、小学3年生の時に初めてシンクロの体験コースでその魅力を知ったという。「クラブチームで高校1年までは続けていましたが、あまりにも練習が厳しく、一度はシンクロをやめてしまいました」。その後も水泳は継続していたのだが、大学進学の際に、同じクラブチームで一緒だった二人のメンバーと話し合い、もう一度シンクロの世界に戻ってきたのだ。「シンクロの魅力は十分分かっていましたし、やはり、シンクロという競技が好きだったんですね。もう一度やりたいという想いで、この部で活動することになりました」。足立監督のもと、再びシンクロの楽しさを感じ取り、厳しい練習をこなして、マーメイドカップという大会の連覇を目指す。「シンクロは採点競技なので、個人のミスによる減点はチームの得点に大きく影響します。自分がどこまでできるかの勝負なのです。例えば、リフトという技の場合、私のポジションは、水中からジャンプする選手を下から押し上げる役割なのですが、成功した時は、水面上での姿は確認できないものの、これは高く飛んだな、という感覚だけは残ります。誰しもがその感触を胸に最後の最後まで気を抜かずに演技をやりきる気持ちを共有できるのです」。喜びを分かち合えるチームでありたいという想いを話す時の本間さんはとてもイキイキした表情になる。深さ3mという水中で、「若きマーメイド達の鼓動」が一つになった時、さわやかな水しぶきが躍動し、目を見張る演技が展開されるに違いない。     (写真・文/西山俊哉) 本間 友里 さん(体育学部体育学科2年)学生のリーダー国士舘大学 シンクロナイズドスイミング部当代当代Vol.55主将

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