カレッジマネジメント194号
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13リクルート カレッジマネジメント194 / Sep. - Oct. 2015子の順位が上昇、法政大学は文系男女に加えて理系女子で、学習院大学は文理×男女のほぼ全ての層で、明治学院大学は特に文系男子で順位を上げた。文系で見ると、法政大学が男女共に知名度を上げ、全体では昨年の9位から、早稲田大学、青山学院大学に次ぐ3位となった。また、東京大学と明治学院大学が男子の、学習院大学が女子の順位を上げている。理系では、立教大学が女子の、筑波大学が男子の知名度を上げてランクアップした。知名度を縦軸に、志願度を横軸にとり、大学の分布を表したものを2015年と2010年で比較したのが図表7である。関東では、縦軸の知名度において60%以上が30校以上存在するなど知名度の高い大学が多いのが特徴で、その傾向は経年で見ても変わらない。図表上、縦軸の知名度60%以上、横軸の志願度5%以上の大学を赤文字で大学名と共にプロットしているが、対象校数は2010年の9校に対し、2015年は8校となった。各大学のポジショニングに大きな変動はないが、なかで日本大学が知名度・志願度共にダウンし左下に移動、青山学院大学が知名度はそのままに志願度を上げ右側へ移動した。続いてゾーンごとの特徴を見てみよう。右上の、知名度も志願度も高いいわゆる「ブランド校」ゾーン(桃色背景)にいるのは全体の約3%、知名度は高いが志願度はそれほど高くないゾーン(黄色背景)に23校約8%が存在する。ここにいるのは、超難関校やスポーツ等で有名な大学だ。残りの大多数、約90%が知名度・志願度共に高くないゾーン(青色背景)に位置している。つまり、調査を行った高校3年生の4月時点では、多くの大学が高校生に認知も興味も持たれていないことが分かる。ポジショニングによって打ち手は異なると思うが、この知名度と志願度をここからどのように上げ、右上を目指していくのかが募集戦略の一つのキーポイントとなると思われる。最後に、各大学の志願を形成する要素となりうる項目について、高校生が個別の大学にどんなイメージを抱いているのかを示したのが、図表8・9である。大学の“機能的価値”として32項目、“感性的価値”として15項目を聞いている。全体では、47項目中30項目で東京大学が1位に、また、41項目で東京大学、青山学院大学、立教大学のいずれかが1位となるなど、高校生の持つイメージは一部の大学に集中している。なかでも、今年は青山学院大学が、もともと順位の高かった「おしゃれ」や「便利な立地」に加えて「活気がある(7位→1位)」「校風や雰囲気が良い(6位→1位)」「キャンパスがきれい(3位→1位)」「交通の便が良い(4位→1位)」など9項目で1位となり、多くの項目で順位を上げた。これは、2013年からの文系学部の青山キャンパス集約や校舎の建て替え等が高校生にうまく伝わった結果だと思われる。また、今年の駅伝の優勝に伴いニュース等に取り上げられる機会が増え、露出と共に校風や勢いなどが伝わった可能性がある。ほかにも、「親しみやすい」「入試方法が自分に合っている」で1位となった立教大学、「国際的なセンスが身につく」で1位となった東京外国語大学のように、個別の特徴が伝わっている大学もある。また、昨今学校選びの項目として注目される「就職に有利」「社会で役立つ力が身につく」「卒業後に社会で活躍できる」は、いずれも東京大学、早稲田大学、慶應義塾大学、京都大学といった歴史と実績のある難関総合大学が上位を占める中、青山学院大学が順位を上げてこの4強に迫っている。一方、同様に高校生の注目が高まっている「資格取得に有利である」「入試方法が自分に合っている」については20校中6校が今年新たにランクインするなど、顔ぶれが大きく入れ替わっている。いずれも上位大学であっても獲得しているポイントが低く、比較的単年度で順位の変動が生じやすい項目であると言えるだろう。その点では、大学の本来の差別化ポイントである「教育方針・カリキュラム」についても、近年各大学が力を入れているにも関わらずランキング1位の大学でも2割を超えておらず、高校生にはまだまだ伝わっていない様子がうかがえる。関東/知名度×志願度プロット分析東海関西知名度×志願度プロット分析知名度×志願度の上位校には変動なし。認知×差別化で、右上を目指せイメージランキング一部の大学にイメージが集中する中、単年度で順位が大きく変動する項目も特集 進学ブランド力調査2015
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