カレッジマネジメント194号
25/86

25リクルート カレッジマネジメント194 / Sep. - Oct. 2015関東東海/知名度×志願度プロット分析関西知名度を縦軸に、志願度を横軸にとり、大学の分布を表したものを2015年と2010年で比較したのが図表14である。図表上、知名度が60%以上かつ志願度5%以上のブランド力が強い大学名を赤文字で表記しているが、対象校数は2015年、2010年共に8校と顔ぶれも含めて変化はない。但し各大学のポジショニングを見ると、名古屋大学と南山大学が知名度はそのままに志願度を下げ左側に移動、名城大学が知名度・志願度共に上げて少し右上へ移動している。ただしこれらのいわゆるブランド校は全体の4%でしかなく、知名度は高いが志願度はそれほど高くないゾーン(黄色背景・エリア外の学校やスポーツ等で有名な大学など)に14校約7%、逆に知名度は高くないが志願度の高いゾーン(緑色背景)に3校約1%が存在する。この緑色のゾーンに学校が存在するのは東海エリアだけに見られる特徴で、3校とは名古屋工業大学、愛知県立大学、名古屋市立大学の地元の国公立大学である。そして88%にあたる残りの多くの大学が、知名度・志願度共に高くないゾーン(青色背景)に位置している。つまり、東海エリアにおいても調査を行った高校3年生の4月時点では、多くの大学が未だ高校生に認知も興味も持たれていない。さらに平均知名度が2010年の29.1%から2015年には27.5%へ、平均志願度も0.9%から0.7%へと下降しており、時系列で見てもこの時期の高校生の大学に対する認知や志願は低くなってきている傾向がある。各大学は、この知名度と志願度をここからどのように上げていくのかが募集戦略のキーポイントとなる。最後に、各大学の志願を形成する要素となりうる項目について、高校生が個別の大学にどんなイメージを抱いているのかを示したものが、図表15・16である。大学の“機能的価値”として32項目、“感性的価値”として15項目を聞いている。東海エリアに顕著な特徴として、全体の47項目中約7割にあたる32項目でエリア外の大学が1位となっている。特に東京大学は25項目で1位となり、非常に強いイメージを持たれていることが分かる。エリア内の大学が1位となったのは15項目で、うち8項目は名古屋大学であった。「資格取得に有利である」「入試方法が自分に合っている」「偏差値が自分に合っている」などの項目では地元の大学が強く、「資格取得に有利」では愛知教育大学がトップになったほか、四日市看護医療大学や日本福祉大学、愛知医科大学や藤田保健衛生大学、岐阜県立看護大学など地元の医療系学部を持つ大学がイメージランキング「資格取得に有利」「入試方法」「偏差値が自分に合っている」などの項目で地元大学が上位に知名度×志願度プロット分析“知名度は低いが志願度が高い”ゾーンに地元国公立大学が複数存在多くランクインしている。「入試方法が自分に合っている」では名城大学、愛知大学、中京大学などが、そして「偏差値が自分に合っている」でも名城大学、中部大学、愛知学院大学、愛知大学といった地元の大規模私立大学がそれぞれランクインした。また、「国際的なセンスが身につく」では昨年1位の東京大学を抑えて名古屋外国語大学が、全体・男女共にトップとなった。特に女子については2位の南山大学との間に10ポイント以上の差をつけるなど、圧倒的に強いイメージを持たれている。ほかにも東京外国語大学、関西外国語大学と複数の外国語大学がランクインしており、高校生にとっての“国際的なセンス“とは、外国語が使いこなせる人材のイメージであることが分かる。これは、まさに今、若年時から英語教育が導入され、使える英語力(読む・書く・聞く・話すの4技能)を強化しようとしていることの影響もあると考えられる。ちなみに、昨年スーパーグローバル大学が37校選定され、東海エリアからも名古屋大学、豊橋技術科学大学が採択されているが、順位は外国語大学が上回っている。全国37校の国際イメージが上昇しているかどうかを今回の調査結果から分析してみても、上昇した大学、横ばい、下がった大学が約3分の1ずつとなっており、スーパーグローバル大学に選ばれただけでこの「国際的なセンス」上がるといった傾向は見られなかった。特集 進学ブランド力調査2015

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です