カレッジマネジメント194号
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47て、「全カリは、理念としては教養科目と専門科目の一体化であったのですが、時間が経過するにつれて体系性が希薄になり、学生は早期に全カリの単位を取得して、あとは専門に当てるという履修行動をとるようになってきました。そこで、「専門性に立つ教養人」という全カリの理念はそのままに、それを専門教育と融合し4年間を体系的な教育に再構築しました」と語る。それが、「学士課程統合カリキュラム」である。4年間の学修を<導入期・形成期・完成期>の3つの期間に分け、教養と専門とを区別することなく、そこに言語教育やスポーツ実習、さらには正課外活動を加えて、学士課程教育のシーケンスを重視するカリキュラムへの変更である(図表1)。これは2016年度から実施する。この中に国際化戦略を盛り込んだのが、「グローバル教養副専攻」と「GLAP」である(図表2)。「グローバル教養副専攻」とは、どの学部に所属していても履修可能な副専攻であり、大学が認定する海外体験を必ず行うことと、英語による科目等、関心のある領域の科目を体系だって4年間で26単位修得することで修了証が得られるものである。また2017年度から開設する、「Global Liberal Arts Program」を指す「GLAP」とは、英語による授業科目のみで学士号が取得できるプログラムであり、外国人学生と共に混住寮などで学ぶことや1年間の海外留学が組み込まれていることを特色とする。英語使用環境、異文化環境という点において「GLAP」には特に力を入れている。異文化を理解し、国際共通語としての英語が使用できる、いわゆるグローバル人材の育成には、こうしたプログラムが最適である。しかしながら、多くの日本人高校生にとっての入学のハードルは高く、入学以前の準備と心構えが必要だろう。他方で、「グローバル教養副専攻」であれば、大学入学後であっても興味や関心に沿って選択可能であり、対象者に広がりを持たせることができる。こうした2段階方式のプログラムに、より多くの学生を巻き込んでいくための戦略をみることができる。数値目標をトリガーに─国際化戦略これら学士課程プログラムの改革も含めて、立教大学全体の国際化戦略が2014年5月に「Rikkyo Global 24」として公表された。この「24」には、24の国際化戦略のプロジェクト数という意味と、2024年の創立150周年を視野に入れての戦リクルート カレッジマネジメント194 / Sep. - Oct. 2015特集 進学ブランド力調査2015学びの技法(どのように学ぶのか)学びの精神(なぜ学ぶのか)卒業論文・卒業制作(4年間で何を学んだか)立教ゼミナール発展編(他学部生とのハイレベルな討議)・知識を修得し専門性を高める・社会との関係性を拡げる・他者や異文化を理解する・卒業後の展望を持つ【導入期】立教大学への着地、適応をサポート【形成期】自己の確立をサポート【完成期】将来への展望をサポートeポートフォリオによる学生の能動的、継続的な学修をサポート図表1 学士課程統合カリキュラムのイメージ4年間の学修について、専門教育、全カリ、言語教育、スポーツ実習、さらには正課外活動をも統合して捉え、学生は導入期・形成期・完成期というように段階的に学修していく。国内外で実施されるボランティア活動、フィールドワーク、スキルアップの講座等、様々なプログラムを通じた自分作りのサポート自分作りをサポート(立教チャレンジ)オリエンテーション入学卒業図表2 「グローバル教養副専攻」と「GLAP」の展開を軸とした教育改革・国際バカロレア、英語外部試験を活用した入試・特定の専攻分野を定めず入学・全ての講義を英語で展開・主体性を身に付けるチュートリアル教育・1年間の海外留学が必須・外国人留学生との混住寮で共同生活・特別奨学金を授与GLAP(縦軸の改革)10学部の多様性を生かしたグローバル教養副専攻(横軸の改革)専門教育全学共通カリキュラム言語教育・異文化教育正課外教育・キャリア教育【連携リベラルアーツ副専攻】ケンブリッジ大学やサウス大学など海外の有力大学と連携したプログラム【立教GLP副専攻】クライアント企業からのプロジェクト課題にチームで取り組むアクティブ・ラーニング【日本学副専攻】日本の歴史、宗教、芸術、文学などを学んだうえで協定校などに留学【データサイエンス副専攻】新たなイノベーションの担い手としてビッグデータの活用や国際調査法などを学ぶ学部科目群▶

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