カレッジマネジメント194号
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54京都産業大学C A S E3大学のブランドがいかに形成され、どう認知されているのか。それを明らかにするには、各大学が戦略的にどのような取り組みを展開し、高校生・産業界・地域社会がそれをどう捉えているのかを見ていく必要がある。周知の通り、日本では長く大学を見る指標として「偏差値」信仰が幅を利かせてきた。しかし偏差値は入試に係るペーパーテストで測定された学力でしかない。偏差値への過度な偏重が、大学を輪切りにし、本来は多様であるはずの大学の見え方を単純化してしまったことは否めない。受験戦争や試験地獄といった言葉が現実味を持たなくなった今、そうした偏差値の優位性は低下し、高校生が大学を選ぶ目も変化しつつある。本稿で取り上げる京都産業大学(以下、京産大)は、2015年進学ブランド力調査で、高校生から「教育方針・カリキュラムが魅力的である」、「国際的なセンスが身につく」といった項目で昨年より順位を上げた。本誌でも以前、産学連携教育に力を入れる大学の一つとして、「日本型コーオプ教育」を展開する京産大を取り上げている(187号、2014年)が、京産大は建学以来、産業界や地域社会との結びつきを重視し、社会ニーズに応える大学教育を追求してきた。最近では有償インターンシップも始めている。そんな積極的な姿勢が受験生にも伝わっていることが、今回の調査からもうかがえる。ただ、京産大が注目を集める理由はそれだけではない。京都市北部の神山キャンパスには学生の快活な声と新校舎建設の槌音が響き、学生の主体性を促す、実に多様な活動が展開されている。近年では女子の志願者数も増加傾向にある。そうしたところにも京産大らしいブランド構築の秘訣がありそうだ。具体的にどんな取り組みが京産大のブランドを作り上げているのか。大城光正学長にお話をうかがった。京産大にとって今年は創立50周年の節目となる年だ。「創立50周年記念推進事業」として、数年前から「むすびわざDNAプロジェクト」を始めとする関連イベントを推進してきた。それもいよいよクライマックスを迎える。今年11月27日には「創立50周年記念式典」を開催し、そこで新たな戦略を学長宣言として打ち出す予定だ。大城学長は、この50年の歩みをふり返り、自大学の目を見張る成長ぶりに驚きを隠さない。経済学部と理学部の2学部でスタートした京産大は、今や8学部におよそ1万3000名の学生が学ぶ総合大学へと成長を遂げた。しかも、京都では珍しくなったワン・キャンパス(一拠点)を維持しての拡大だ。「学生数においても大学規模においても、50年でよくここまで順調に伸びた」というワン・キャンパスが育む学生の豊かな学びと主体性リクルート カレッジマネジメント194 / Sep. - Oct. 2015京産大ブランドの源泉となる「神山スピリット」大城光正 学長

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