カレッジマネジメント194号
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61リクルート カレッジマネジメント194 / Sep. - Oct. 2015世界の最先端を走る成熟国家・日本。人口減少、少子高齢化、国内市場の飽和・衰退といったインパクトが社会にもたらす影響が極めて大きいことは、既に国民一人ひとりが感じ始めている。こうした閉塞的な状況を打破し、新たな社会を創造するために、「社会リーダー」が生まれることが待望されている。新たな社会価値を創造し、人々の未来を豊かにすることを、自らの使命と自覚している「社会リーダー」が、それも、ごく一握りの存在ではなく多くの社会リーダーが継続的に生まれていくことが待望されている。リーダーという言葉は、我が国においては、国家や企業・団体やチーム等のトップ人材と同義で使われていることが多い。確かに、先行研究※においても「Elected Leader(選挙で選ばれたリーダー)」「Appointed Leader(任命されたリーダー)」という類型が掲げられている。しかし、この研究では、併せて「Emergent Leader(自然発生的なリーダー)」という類型も掲げられる。既存の組織がない状況の中で、ある事象・課題に対峙するために立ち上がる、というリーダーだ。本来的なリーダーの意味は、この「自然発生型リーダー」に近い。ある人が、自身の想いを持って立ち上がり、その想いにフォロワーがついてくるところで、初めてその人は、リーダーとなるのだ。組織のトップの座に就いていても、立ち上がったり事を起こしたりしない人はリーダーではない。それまでより良いやり方をとることで組織をより良い状態にする人材は、マネジャーとしては優れてはいるが、リーダーとは呼べない。こうした先行研究を踏まえ、私達は、社会リーダーを以下のように定義した。「社会リーダー」創造のための未来図高等教育機関に求められる役割とは 少子高齢化やグローバル化・IT化等によるかつてない社会構造の変化や、外交やエネルギー問題等の高度な課題に直面している現在の日本社会において、切望されながらも不足しているのが、リーダー人材だと言われている。この度リクルートワークス研究所が発表したレポート「『社会リーダー』創造のための未来図」をもとに、現代における「社会リーダー」の特性やメカニズム、より多くのリーダー層を育成するために高等教育機関に求められることを寄稿してもらった。高等教育機関における人材育成の考えかたの、一つの参考として頂ければ幸いである。豊田 義博 リクルートワークス研究所 主幹研究員●PROFILE1983年株式会社リクルート(現株式会社リクルートホールディングス)に入社。就職ジャーナル、リクルートブック、Worksの編集長を経て、現在は研究員として20代の就業実態・キャリア観・仕事観、新卒採用・就活、大学時代の経験・学習等の調査研究に携わる。著書に『若手社員が育たない。』『就活エリートの迷走』(以上ちくま新書)、『「上司」不要論。』(東洋経済新報社)、『新卒無業。』(共著 東洋経済新報社)ほか。専門はキャリア論、世代論、学習理論、組織行動学。※House, Robert J. and Mary L. Baetz, 1979, "Leadership: some empirical generalizations and new research directions," B. M. Staw ed., Research in Organizational Behavior 1, Greenwich, JAI Press, 341-423.日本は今、数多くの「社会リーダー」を待望している
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