カレッジマネジメント194号
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いう。地域の方が利用時に作成する図書館のカードも、既に200枚以上発行されているそうだ。その逆に、学生も、どんどん地域に出ていくことが奨励されている。このキャンパスには、新設した看護学部に加え、美浜キャンパスから移転してきた経済学部・国際福祉開発学部の3学部の学生約900人が学んでいるが、名古屋駅から17分、中部国際空港から19分という好立地を生かして、多くの企業や病院、空港等と提携した教育プログラムが用意されているのだ。例えば経済学部であれば、地元企業と一緒に行う地域研究プロジェクトや商工会議所や市役所と連携したインターンシップ、経営者や市職員の方による講義など。国際福祉開発学部では、中部国際空港や近隣のホテル等での実習や海外研修、そして看護学部では、知多半島にある全ての公立病院が実習施設になっているほか、保育園や企業内の診療所での実習、地域看護との連携等が順次行われていく予定だという。もう一つのこのキャンパスの大きな特徴は、地域の防災拠点となろうとしている点だ。海抜の低い位置にあるため、基盤に3.8メートルの盛り土を行い、さらに建物は免震構造で建てられている。地下1階、地上6階からなる校舎の最上階には防災倉庫や自家発電を備え、1階の看護学部の実習室ではけが人や病人の受け入れ、5・6階の体育館は避難所となることを想定しているという。これらの設計が意味することは、塀や門といった物理的な境界がないというだけでなく、人の流れや学びのフィールドまでが、ボーダーレスに地域に広がっているということだ。これはまさに、日本福祉大学が目指している“全ての人々の暮らしをしあわせにするふくし”を体現するキャンパスであり、本当の意味で地域に開かれたキャンパスを実現する、新しいチャレンジではないだろうか。この4月にオープンしたばかりではあるが、このキャンパスの未来について、「地域に開かれたキャンパスという意味では、ある程度環境は整えることができた。今後は、新しくできた看護学部も含めて、卒業生が地域に出ていって活躍する、といういい循環を創ることが、本当の地域連携であり、貢献だと思っている。(東海キャンパス事務部長 塩見さん)」「新しいキャンパスなので、色々な取り組みもしつつ、新たな日本福祉大学の文化を創っていきたい。(東海事務室長 田邉さん)」。日本で最も歴史のある福祉系大学の最新の取り組みがどのような成果をあげるのか、新キャンパスの今後の発展に注目していきたい。(本誌 林 知里)日本福祉大学は、4年制の社会福祉学部を作った日本で最初の大学。以来六十数年、福祉を軸に、経済や保育、国際福祉開発、健康科学等に領域を広げ、現在では7学部9学科を擁する「ふくしの総合大学」として発展してきた。「ふくし」を漢字ではなく平仮名で表記しているのは、介護や看護を必要としている人だけでなく、より広く、全ての人のしあわせな暮らしや未来を創ることに貢献するものでありたい、という特別な意味を込めているという。そんな日本福祉大学が、今年新たに創設した看護学部とともに4つめのキャンパスとしてオープンしたのが、東海キャンパスだ。このキャンパスは、ある意味斬新な設計になっている。名鉄の太田川駅前開発と共同で進めてきたこのキャンパスは、隣接する市の公園との間に、塀も門もない。そして、キャンパスの中にある図書館や食堂、エントランスホールは地域住民に開放されており、自由に使っても良いことになっている。実際に、食堂に地域の方が通って来たり、高校生が図書館で試験勉強したりという光景は珍しくないと84リクルート カレッジマネジメント194 / Sep. - Oct. 20155・6階吹き抜けの体育館には防災倉庫も完備。災害時には、地域住民の避難所の役割を果たす。

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