カレッジマネジメント194号
85/86

知力と技術の調和    2020年・東京オリンピックの追加種目候補にあがったことで、再び注目を集めているボウリング。大学の強豪チームが集う「文部科学大臣杯争奪・全日本大学ボウリング選手権大会」において、3年連続4度目の優勝という実績を誇るのが、名古屋産業大学・ボウリング部だ。次の大会に向けてチームを率いるのが部長の和田敏孝さん。「父親がボウリングをやっていた影響もあり、高校2年の頃から始めました。このチームには中学生や高校生の頃からやっているメンバーも多く、1年生を除く7名の部員は全員、300点のパーフェクトゲームを出しており、私自身も6回パーフェクトを出しています」。  和田さんの話を聞くだけで次元の高さが分かる。ボウリングはレジャーとしては馴染み深いものだが、競技としての試合の駆け引き等はあまり知られていない。「ボウリングのチーム戦は、2レーンの中で、10人の選手が投げ合います。1シフト3ゲームで、1ゲームあたり1時間かかるので、最低でも3時間。周りのレーンの投げる間合い等もあるので、3連覇のかかった決勝戦は4時間半の試合となりました」。ゲームの勝敗は、まさに一投1ピンごとの戦いになるというのだ。「会場や季節によってもレーンの状態は変わります。そのためにシューズの裏面のパーツを変えたり、ボールを選択していきます。このレーンならこのボールで、このコースで投げればスコアが出せるという戦略的な考えが必要です。さらに、10人が投げていく流れの中でレーンの状態が変化するので、周りのレーンの一投を見逃さず、その変化を感じ取りながら微調整をしていきます。試合後は、頭が一番疲れますね」。知れば知るほど奥深い頭脳戦。そして、その思考通りに投げ分ける技術が求められる。「部長としての役割は、こうした試合展開の中で、どのようにチームの流れを作り、結果を生み出していくのか。そのことを普段の練習の中で話し合い、試合と同じ緊張感を持って取り組ませていくことだと思っています」。そう語る和田さんは、リーダーとして「知力と技術の調和」をチームにもたらしていく。その積み重ねの先に、大会連覇という結果が見えてくるに違いない。 (写真・文/西山俊哉) 和田 敏孝 さん (環境情報ビジネス学部環境情報ビジネス学科4年) 学生のリーダー 名古屋産業大学 ボウリング部 当代 当代 Vol.56

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です