カレッジマネジメント195号
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24太秦キャンパス亀岡キャンパス京都府中世ヨーロッパに「大学」が誕生した当時、大学はキャンパスや建物を持たなかった。ハードなインフラは大学の存立にとって必ずしも絶対条件でなかった。大学史のテキストはそう教えている。しかし、現代の大学にとってキャンパスは不可欠な要素だ。それどころか、キャンパスの設置や整備には入念な戦略さえ求められるようになった。キャンパス戦略には、インフラ整備等はもちろん、大学の本丸たる教育・研究・社会貢献といったソフト面も複合的に包摂されている。キャンパスを立地条件や学部・学科構成と重ね合わせて戦略的に構想できるか否かは、大学の今後の帰趨を制すると言っても過言でない。その意味で、本稿で取り上げる京都学園大学(以下、京学大)の事例は示唆に富む。京学大は2015年4月、京都市右京区に「京都太秦キャンパス」を開設し、従来の亀岡キャンパス(亀岡市)と合わせたダブルキャンパス体制に移行した。新キャンパス開設は、京都市進出に加え、学部・学科の大規模再編をも伴っていたという点で、高い戦略性を有していた。同戦略はいかなる経緯で打ち出され、どんな成果を上げつつあるのだろうか。京都駅から約20分、地下鉄太秦天神川駅からわずか徒歩3分という交通至便な場所に立地する真新しいキャンパスを訪ね、篠原総一学長、石原祐次法人事務局長(前大学事務局長)、菅恭弘大学事務局長にお話を伺った。新キャンパス開設の経緯と狙い京学大は1969年4月、経済学部(経済学科・経営学科)のみの単科大学として開学した。その後しばらく1学部体制が続いたが、1989年設置の法学部(法学科)に続き、1991年には経済学部経営学科から「経営学部」を独立させた。さらに1999年に人間文化学部を、2006年にはバイオ環境学部を開設した。こうして40年ほどをかけて、京学大は、5学部10学科で構成される、入学定員900名・収容定員3600名の中規模大学へと成長してきた(図表1の左)。しかし、次第に課題も明らかになり始めていた。それは、2006年あたりから志願者が減少し始めたことだ。確かに、志願者数はそれ以降2014年度まで減少が続いている(図表3)。志願者数は最終的に最盛期の7割まで低迷し、理事会でも抜本的改革の必要性が認識されるようになっていたと石原法人事務局長は語る。といっても、改革の手段として最初から新キャンパス設置があったわけではない。実際に新キャンパス構想が出てくる契機となったのは、2010年7月に京都市から「山ノ内浄水場跡地」への新キャンパス設置の可能性についてアンケート調査があったことだ。京都市は2013年3月末をもって同浄水場を廃止する方針を決定し、その跡地の有効活用を模索中だった。地下鉄太秦天神川駅や嵐電天神川駅に隣接する好立地であり、民間活力導リクルート カレッジマネジメント195 / Nov. - Dec. 2015新キャンパス開設を機に地域特性に応じて学部・学科を再編C A S E2京都学園大学篠原総一 学長菅 恭弘 大学事務局長石原祐次 法人事務局長
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