カレッジマネジメント195号
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25特集 都市部を目指す大学Ⅱ入で地下鉄増客につなげられるよう約1万坪の跡地活用を行うことは、厳しい財政状況にある京都市にとって喫緊の課題だった。かたや、京学大にとっても渡りに船だった。新キャンパス設置は、低迷し始めていた大学を抜本的に変えられる可能性がある。理事会はそう判断した。理事会の下に「山ノ内基本構想検討委員会」を設置し、本格的な議論を始めた(図表2)。議論の末、理事会は2011年12月、京都市の事業者募集への応募方針を決定するに至る。石原法人事務局長によれば、このとき、ダブルキャンパスに移行することの意義を主張したのは西井泰彦前理事長だったという。西井前理事長は私学事業団で私学経営相談センター長を務めた人物だ。私立大学経営に通暁した前理事長の存在と、2012年11月に新たに理事長に選任された、当時の京都経済同友会代表幹事と医療法人理事長を併任する田辺親男新理事長のリーダーシップが、歴史的とも形容できる大改革を方向づける大きな原動力となったとみてよいだろう。京都市の資料によれば、新キャンパス設置に関心を寄せていた大学はほかにもあったようだが、最終的には、京学大が京都市との交渉を経て2012年8月に協定締結に至った。これ以降、京学大の改革は「ダブルキャンパス構想」を軸に大きく進展していくことになる。その内容は、新キャンパス設置による学部・学科の再編と再配置であり、それが狙いとするところは知的好奇心が刺激される環境の創造による教育・研究の活性化と志願者増にあった。ダブルキャンパス化がもたらす好影響こうした京都市内へのキャンパス進出と学部・学科の再編を基本方針として打ち出したのは理事会だった。京都市進出にあたって現行組織を変えずに平行移動させるだけでは社会に対する訴求力に欠ける。志願者が減少するなか、新キャンパス開設を機に新しい学部・学科に生まれ変わる必要があるというのが理事会の掲げた基本コンセプトだった。他方、理事会が決めた基本路線に沿って組織改組のあり方を具体化していったのは、学内の学部長会議だった。組織改組で最も影響を受けるのは、言うまでもなく教育・研究を行う現場であり、そこで学ぶ学生だ。理事会は大学側の意思決定を尊重した。内山隆夫前学長の強いリーダーシップと学部長会議の下で学部・学科再編が進められたと石原法人事務局長は語る。こうして学内で議論を重ねた結果、新たな学部・学科体制への転換が実現した(図表1の右)。収容定員3600名に変更はないが、学部・学科の構成と配置が大きく変化したことは一目瞭然だ。亀岡のワンキャンパスから、亀岡と太秦で構成されるダブルキャンパスへ―この転換は京学大に何をもたらしたのか。それは単なるキャンパスの複数化だけではない。ダブルキャンパス化を通して、京学大は自らの戦略性を高めることに成功したと言っていい。何より、キャンパスの立地条件や地域特性に応じた学部・学科の再配置が可能になった。亀岡リクルート カレッジマネジメント195 / Nov. - Dec. 2015経済学部・経済学科経営学部・経営学科・事業構想学科法学部→2015年4月学生募集停止・法学科人間文化学部・心理学科・歴史民俗・日本語日本文化学科・メディア社会学科・ 国際ヒューマン・コミュニケーション学科バイオ環境学部・バイオサイエンス学科・バイオ環境デザイン学科3600名亀岡キャンパス図表1 移転前後での各キャンパスの配置学部と学生数学生数(定員数・学部合計)※以下同3600名これまで人文学部→2015年4月新設・心理学科健康医療学部→2015年4月新設・健康スポーツ学科バイオ環境学部・バイオ環境学デザイン学科・バイオサイエンス学科・食農学科→2015年4月新設1600名亀岡キャンパス経済経営学部→2015年4月新設・経済学科・経営学科人文学部→2015年4月新設・歴史文化学科健康医療学部→2015年4月新設・看護学科・言語聴覚学科2000名太秦キャンパス3600名キャンパス再編成後(2015年4月~)太秦キャンパスの開設に伴い、学部学科を大きく再編成開設図表2 京都太秦キャンパス検討の体制評議員会監事理事会学園総合協議会理事長大学運営協議会幼稚園(園長)中学校(校長)高等学校(校長)大学(学長)大学評議会各学部教授会ワーキンググループ等テーマ別部会山之内基本構想検討委員会自己点検・評価委員会大学評価基本会議法人本部

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