カレッジマネジメント195号
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35リクルート カレッジマネジメント195 / Nov. - Dec. 2015か。教育の質的転換は不可欠だ。初等中等教育改革とともに、大学における教育改革を、高大接続改革の視点に立って一体的に進めることが重要で、国立大学には改革をリードしてほしいと考えている。既にこうした課題に果敢に挑戦している国立大学がある。例えば、宇都宮大学は、平成28年度に地域デザイン学科を新設する予定だが、教育学部(新課程廃止)と工学部の定員を再配分し、社会制度や防災など重層的な地域課題に対応できる人材を養成しようとする計画だ。新時代のニーズと各大学が培ってきたリソースを踏まえ、文理の枠組を超えて、グローバル化、イノベーション、地方創生など我が国が直面する重要課題に対応した新学部を作ったり、海外大学と連携して国際的な教育研究拠点となることを目指したりする動きも次々に出てきている。こうした改革の芽は是非伸ばしていただきたい。(平成28年度に向けての各大学の構想では、全体の約1割、約150の学科が再編される予定である。)今回の通知は、国立大学がどういう教育を行い、学生をどう鍛えるか、そのための組織は今のままでよいのか、全ての組織を対象に、大学自ら見直しを行っていただきたいというのがその趣旨である。文部科学省は、国立大学に人文社会科学系の学問は不要とは考えていないし、すぐに役に立つ実学のみを重視しようとしている訳でもない。予測困難な時代を生き抜くためには、答えのない問題に対して自らの力で主体的に解決していく力、リベラルアーツ教育を通じて人間性の幅や厚みを身につけさせることが必要だ。人文社会科学系の学問はその重要な一翼を担うものである。(図表2参照)一方で、特に教員養成大学・学部と人文社会科学系を取り上げているのは、教育の面から改善の余地が大きいと考えるためだ。・教員養成大学・学部については、教員養成を目的としない「新課程」を廃止し、教員養成の質の向上に注力していくことが課題である。・人文社会科学系は、専門分野が過度に細分化されていること(たこつぼ化)や、学生に社会を生き抜く力を身につけさせる教育が不十分であること(学修時間の短さ、リベラルアーツ教育の不十分さ)等が社会一般だけでなく学術界からも指摘されている。養成する人材像を明確化して、それを踏まえた教育課程を実施できる組織であるかが課題だ。新時代の大学教育の形や組織の在り方について、各大学には英知を絞ってほしい。文部科学省は、新時代を見据えた改革に取り組む大学を積極的に支援していく考えだ。国立大学法人運営費交付金の配分方法の見直し国立大学法人運営費交付金は、現在の国立大学を財政的に支える最も基盤的な経費であり、国立大学改革を第3期において実装するうえで、どのような配分方法を行うのかは大きな課題である。第2期の見直しとは異なり、今回は有識者による議論をオープンな場で行い、方向性を示して頂いたうえで具体的な設計を行うこととした。「第三期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会」では、平成26年11月から10回にわたり議論を行い、翌年6月に審議まとめを公表した。このまとめにおいては、第3期に国立大学が目指す姿や、継続的に運営費交付金が減少する中で第2期の配分方法が十分に機能しなかったことを踏まえ、よりきめ細かな配分方法を実現し、その透明性を高めることが提言された。改善のポイントは大きく2点であり、1点は、予算上、3つの重点支援の枠組みと国立大学に共通する課題等に関し重点支援を行う仕組みを導入すること、もう1点は、学長がリーダーシップを発揮しながら学内資源配分等の見直しを促進するため、学長の裁量による経費を新たに区分して設けること、である。図表3をご覧頂くと、財政面では学部等の構成によって国立大学もいくつかのグループに分けることができるが、それぞれの収入や支出の状況は大きく異なっている。このような状況の下、基盤的経費という運営費交付金の性格に基づき各大学の運営を担保しつつ、それぞれの強み・特色を強化するという改革の方向性の実現を考えた場合、86ある国立大学には複数の枠組みを設けることでよりきめ細かく支援を行っていくことを明確に示すことが適切であると考えたところである。このような枠組みは大学の活動を制限するという意見もあるが、この選択は
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