カレッジマネジメント195号
46/56
502015年8月に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」が10年間の時限立法として成立し、2016年4月より施行される。本法は、自らの意思によって職業生活を営み、または営もうとする女性がその個性と能力を十分に発揮して職業生活において活躍することが一層重要となっていることを踏まえ、①女性に対する採用、昇進等の機会の積極的な提供及びその活用と、性別による固定的役割分担等を反映した職場慣行が及ぼす影響への配慮が行われること②職業生活と家庭生活との両立を図るために必要な環境の整備により、職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立を可能にすること③女性の職業生活と家庭生活の両立に関し、本人の意思が尊重されるべきことの3点を基本原則に、政府による基本方針の策定、都道府県及び市町村による推進計画の策定、事業主による行動計画の策定・公表、優良一般事業主認定制度等を定めたものである。事業主行動計画の策定に当たっては、採用者に占める女性比率、勤続年数の男女差、労働時間の状況、管理職に占める女性比率等について把握し、課題分析を行うことが求められている。その結果を踏まえて、数値目標や取り組みを盛り込んだ行動計画を策定し、都道府県労働局への届出、労働者への周知、外部への公表を行う必要がある。常時雇用する労働者が301人以上の一般事業主には策定が「義務」として課され、300人以下の場合は「努力義務」とされており、国立大学法人、公立大学法人、学校法人もこの法律に則った対応が求められる。国際水準や「2020年30%」目標から乖離する現状振り返ると、1985年に「男女雇用機会均等法」、1991年に「育児休業法」(1995年に「育児・介護休業法」)、1999年に「男女共同参画社会基本法」、2005年に「次世代育成支援対策推進法」と「少子化対策基本法」が制定され、それぞれ改正を重ねながら法的枠組みが整備されてきた。「女性の活躍推進」として語られる課題は、雇用における性別による差別の撤廃という目的から出発し、育児・介護に従事する労働者の支援、男女共同参画による豊かで活力ある社会の実現、急速な少子化の進行への対処、という社会的要請の推移の中で、目的を多面化させながら推進されてきたということができる。そして現在、国は、労働力人口が減少する中で、女性のさらなる社会進出を後押しするとともに、「女性の活躍の場が広がることで、経済社会活動のあらゆる場に変革が起き、これまでにない形での経済成長の実現が可能となる」(2015年6月30日『「日本再興戦略」改訂2015』より)とし、女性の活躍推進を国の重要政策の一つに位置付け、さらに加速させようとしている。これらの取り組みにより、女性の活躍に関する諸指標は緩やかながら改善傾向を示しているが、国際的に見ると依然として低い水準にとどまっている。内閣府『男女共同参画白書(平成27年版)』から具体的な数字を拾うと以下の通りとなる。国連開発計画(UNDP)による人間開発指数(HDI)におい大学を強くする「大学経営改革」「ダイバーシティーと大学」について考える吉武博通 筑波大学 ビジネスサイエンス系教授リクルート カレッジマネジメント195 / Nov. - Dec. 2015「女性活躍推進法」による行動計画策定の義務付け62
元のページ