カレッジマネジメント196号
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14リクルート カレッジマネジメント196 / Jan. - Feb. 2016今の社会の風向きを見ても、グローバル人材を採用したいという意欲は、大手企業だけでなく、中小企業も非常に旺盛です。「留学で就職が不利になる」という思い込みをしている大学や大学生がいるならば、非常にもったいないことだと思いますね。――今回の時期変更に関して、「おわハラ」といった企業の焦りを物語るような現象も取り沙汰されました。企業の反応は、全般的にどうだったのでしょうか。率直なところ、今回の時期変更は、企業の採用実務担当者にはとても評判が悪かったと言ってよいでしょう。企業は、当初から2016年度採用戦線を悲観していました。2015年の1月に行われたアンケートで、今年は「選考応募者数が減ると思う」「内定辞退者数が増えると思う」「採用活動期間が長くなると思う」「採用人数が減ると思う」と予測する企業が例年以上に多くありました(就職みらい研究所「就職白書2015」)。また、採用活動をほぼ終えた段階でアンケートをとってみると、「前年より内定辞退率が上がった」という企業が約50%、「前年より採用効率が下がった」という企業が約60%、「以前のルールが良い」という企業が75%以上に上りました(リクルートワークス研究所「採用見通し調査」)。企業からの評価は、概ね厳しいものだったといえるでしょう。「おわハラ」に関しては、9月1日までに企業から「就職活動の終了を求められた」学生は13.2%、「他企業への就職活動の制限となるような拘束を受けた」学生は11.7%(就職みらい研究所「就職プロセス調査」)。経年比較ができないため、はっきりとは言えませんが、「大手が後」という構造変化が起き、重複内定者の割合が高まったこと等を考え合わせれば、少なくとも「就職活動を早く終えてほしい」と願う企業は増えたといってよいでしょう。しかし、だからといって、それを学生に強要するような企業ばかりではありません。むしろ「おわハラ」という言葉が注目されるようになったことも相まって、企業は極めて慎重にコミュニケーションをはかっていたように思います。また、大学の就職指導の現場の方からは「学生が気にしすぎている」という話もうかがいます。「それはハラスメントでも何でもなく、企業が本当にあなたを欲しくて図表4 就職志望者における就職内定率の推移(就職志望者/単一回答) 0 20 40 60 80 100 3月卒業 時点 2月1日 時点 12月1日 時点 10月1日 時点 9月1日 時点 8月1日 時点 7月1日 時点 6月1日 時点 5月1日 時点 4月1日 時点 3月1日 時点 4.1 7.5 18.5 47.7 61.3 71.3 78.2 83.4 86.0 20.7 34.5 49.6 65.3 78.1 85.9 4.5 14.4 39.3 53.4 65.0 72.0 75.9 81.7 86.4 90.7 91.9 94.3 90.2 91.5 5.5 就職みらい研究所「就職プロセス調査」 就職内定率=就職内定取得者数÷就職志望者数 (%) 2014年卒 2015年卒 2016年卒 図表5 就職志望者における就職活動実施率の推移(就職志望者/単一回答) 3月卒業 時点 2月1日 時点 12月1日 時点 10月1日 時点 9月1日 時点 8月1日 時点 7月1日 時点 6月1日 時点 5月1日 時点 4月1日 時点 3月1日 時点 0 20 40 60 80 100 98.4 95.1 95.4 77.8 60.9 46.0 36.7 29.2 24.3 15.8 10.3 72.3 52.4 41.0 30.6 20.9 18.8 10.6 6.5 4.6 7.4 98.3 96.5 97.0 93.9 90.4 81.5 68.7 37.5 23.7 就職みらい研究所「就職プロセス調査」 就職活動実施率=就職活動実施者数÷就職志望者数 (%) 2014年卒 2015年卒 2016年卒

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