カレッジマネジメント196号
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15リクルート カレッジマネジメント196 / Jan. - Feb. 2016言っているのだから、あまり被害者意識を持たないように」とアドバイスすることも多いようです。――来年度、選考期間が2カ月繰り上げになるとの報道発表もありましたが、今後に向けて大学生や大学は、どのような心づもりをしておけばよいでしょうか。今後の企業の動きとして予測できる点はいくつかあります。まず来年度に関しては、時期変更の有無に拘わらず、企業の採用活動は全般的に早まるでしょう。なぜなら今年度、採用充足度の低い企業が多かったと見られるからです。「今年はうまくいかなかった」と認識している企業は、来年度は改善活動に努めるはずです。そうした動きは企業個々のものですし、企業の採用活動は、これまで以上に企業ごとに異なるものになっていくことも予測されます。一方で、「厳選採用」の傾向は今後もある程度続くでしょう。採用基準を緩めて、何がなんでも数だけは確保するという企業は、今後も少数派だと思われます。以上のような点を押さえたうえで、何かアドバイスできることがあるとすれば、まず大学生に対しては、自分の価値観や志望動機を確認するためにも、インターンシップ等の機会も活用して、実際の企業に触れてもらいたいですね。自分の方向性を決めないままオンシーズンに突入することだけは避けるべきですから、そうならないためにも必要なことだと思います。就職活動が始まると、エントリーシートの提出や適性検査等、次から次へと取り組むべきことがあります。その際にいちいち躓いてしまわないよう、準備できるものはしておくことが大切です。さらに、志望する業界や企業に関しては、うわさレベルの情報に惑わされず、自分の手で一次情報を探ってもらいたいですね。大学に対しては、まずは時期変更の周知徹底をきちんと行って頂きたい。しかし、また時期変更がなされたところで、産業界全体が一糸乱れず動くとは考えづらい。むしろ方向は多様化の流れといえ、またこうした就職・採用活動スケジュールは、暫く模索の時期が続く可能性もあります。だとすれば、各大学のなすべきことは、そうした「時期」のみに惑わされることなく、あくまでも各大学の掲げる人材育成の理念を就職という場面でも貫いていくことではないでしょうか。即ち、「キャリア教育」と「就職支援」をいっそう充実させる以外にないように思います。この混迷の時期にきめ細やかな就職支援はやはり必要でしょうし、頼もしい社会人へと脱皮させるキャリア教育も不可欠でしょう。その両輪をいかに活性化できるかが、それぞれの大学の存在価値を大きく変えていくだろうと思います。図表6 就職志望者における地域別就職内定率の推移(就職志望者/単一回答) 就職みらい研究所「就職プロセス調査」 (%) 0 20 40 60 80 100 3月卒業 時点 2月1日 時点 12月1日 時点 10月1日 時点 9月1日 時点 8月1日 時点 7月1日 時点 6月1日 時点 5月1日 時点 4月1日 時点 3月1日 時点 2016年卒 その他 2016年卒 近畿 2016年卒 中部 2016年卒 関東 2015年卒 その他 2015年卒 近畿 2015年卒 中部 2015年卒 関東 特集 “学ぶ”と“働く”をつなぐⅡ重要なのは「就活」が始まる前の準備

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