カレッジマネジメント196号
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22から始まるキャリア科目(図表2)の中でも伝えていき、視野を広げたうえで、「どういう分野でどういう生き方・働き方をするかを決めてほしい」と伝えている。大学と社会をつなぐ場を作るまた、社会人メンター制度以外にも、学生に外の世界を体験してもらうような場を意識的に作っている。2013年にはビジネス系学部であるグローバルビジネス学部開設と同時に、現代ビジネス研究所を設置した。昭和女子大学はもともと文学・家政を中心に発展してきた大学であるため、経済や経営の専門家が少なく、実務経験を持つ人材プールが必要という問題意識があった。また、坂東学長自身、ハーバード大学での研究員での経験が自身にプラスだったことから、社会人にそういう場を提供したいという狙いもあった。グローバルビジネス学部では、3年生になるとプロジェクト学習に取り組む。この授業は、教員と研究員(企業の人)がペアで行うユニークなものである。多くの大学でプロジェクト学習に取り組むようになっているが、全て自前でやっているのは少ないのではないかという。研究員は会社から言われて来ているのではなく、自ら研究計画書を書き、応募するボランティアである。自らの経験を大学に還元したいという社会人は思いのほか多く、協働する教員にも良い影響を与えているという。女子大だからこそグローバル化に取り組むまた昭和女子大学は、女子大では珍しくグローバル化に熱心に取り組んでいることで有名だ。前述のグローバルビジネス学部設置のほか、2013年~2017年のグローバル人材育成推進事業も、私立女子大学で唯一採択されている。社会の要請からも、女性のキャリアからも、女子大がグローバル化に取り組むのは意義があるという。女性は歴史的に見て男性より遅れて社会に進出しているため、男性が不足しかつ社会的ニーズの高い領域へ人材を輩出できれば、活躍の場が大きく広がる。現代においてそういう領域とは、まさにグローバル領域を指すからだ。グローバルビジネス学部を作った目的は、グローバルリーダーを支えるグローバルワーカーを育成するところにある。新増設に当たって「リーダー育成」を掲げる大学は多いが、実際のビジネスにおいてはリーダーだけがいても仕方がない。いわゆる「普通の子」のレベルアップこそが社会を良くすることにつながると考えている。「ただ、この分野は既存の共学私大が強い分野ですから、かなりのチャレンジでした」と学長は言われるが、蓋を開けてみれば、図表3にあるように、志願者数も急増した。また、これまでの昭和女子大学生とはタイプの違う学生が増えてきたという。共学志願者の併願先として目を向けられつつもあるようだ。成功の背景には、「昭和ボストン」という全寮制の海外キャンパスを持っていたことも大きい。1988年に設立されたキャンパスで、一時は財政上の負担にもなっていリクルート カレッジマネジメント196 / Jan. - Feb. 2016図表2 2015年度キャリア支援システム・キャリアをデザインする力を培う・多様な働き方を知り、ロールモデルに学ぶ・企業と社会のルールを学ぶ・自己理解をする・社会を学び、職業を理解する・就活スキルを身につける多様な社会経験や職業経験を持つ女性社会人に、人生設計や就職等についてアドバイスを受け、将来の指針とする目的★2015年度キャリアコア科目4年生3年生2年生1年生★女性の生き方と社会(選択必修)★女性のキャリア形成(選択必修)★企業と社会のルールキャリア教育キャリア支援プログラム社会人メンター制度・就職ガイダンス・就職活動準備講座・採用選考対策講座   等★企業と社会のルール・学内合同企業説明会・SPI試験対策講座・個別面談・サポート    等★女性の生き方と社会(選択必修)★女性のキャリア形成(選択必修)・SPI・一般常識模擬試験・SPI試験対策講座・仕事を知るシリーズ   等★実践倫理(キャリアデザイン):必修・仕事を知るシリーズ・SPI試験対策講座・個別面談・サポート   等<目標>就業の意義、キャリアデザインの重要性を学ぼう<目標>卒業後の進路を確定し、目標を持って社会に巣立とう<目標>就活スキルを磨き、内定獲得に向けて行動しよう<目標>ビジネスフィールドを知り、ロールモデルに学び、自己のキャリアデザインを描こうメンターフェアメンターカフェ個別メンタリング

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