カレッジマネジメント196号
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40リクルート カレッジマネジメント196 / Jan. - Feb. 2016本学の法人としてのルーツは、1898年(明治31年)旭川村に誕生した旭川裁縫専門学校に遡ります。その後いく度かの校名変更に伴う変遷はあったものの「女子教育」として地域に確固たる基盤を築きました。1964年(昭和39年)には短期大学を設立し、1968年(昭和43年)には、旭川市の研究学園都市構想において、本学の前身である北日本学院大学を開学。いずれも経営的には挫折。抱えた負債は12億円。私は開学3年目、着任後にその事情を知りました。正直なところ、退職することも考えました。しかし、働き続ける人達もいる。事務職員、図書館員、ボイラーマン…。その人達と共に再建の道を探るべきと思い直し、旭川市に直談判に行きました。市も理解を示し、損失補償の労をとってくれました。当時の五十嵐広三市長は、こう言いました。「ひとつの大学づくりが、ひとつの街づくりにつながるような大学を、どうかつくりあげて下さい」この言葉に深く感銘を受け、大学再建が私の使命と覚知。そこから今日まで、私の人生は旭川大学と共にあります。地域の各々の事情に寄り添う教育その当時の北海道は、さながら東京の大手私大の植民地のごとく、各地に姉妹大学や短大が造られていきました。それを横目で見ながら、われわれは地域貢献を胸に刻み直しました。「地域に根ざし、地域を拓き、地域に開かれた大学」この建学の理念に基づき、地域密着型大学としての歩みを続けてきました。教育手法も、学生が地域に飛び込んでいって学び取ることを大切にしています。例えば、経済学部の江口ゼミナールは、旭川名物のラーメンに着目。学生は、ラーメン店を一軒一軒訪問していきます。なぜラーメン店を始めたか、地元の食材を何割くらい使っているか、損益分岐点は何杯か、後継やまうち・りょうじ氏1941年生まれ1970年 北海道大学大学院教育学研究科博士課程 教育社会学専攻単位取得後退学1970年 北日本学院大学女子短期大学部 (現:旭川大学短期大学部)専任講師1975年 旭川大学経済学部助教授1987年 ヴィクトリア大学(ニュージーランド) 客員研究員1990年 旭川大学経済学部教授1998年 イギリスチェスター大学客員教授2003年 旭川大学・旭川大学短期大学部学長2004年 学校法人旭川大学理事長専門は教育社会学、社会福祉論、地域政策論公立化、総合大学化を経て「地域のダム」大学を目指す旭川大学 理事長・学長山内 亮史

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