カレッジマネジメント197号
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23リクルート カレッジマネジメント197 / Mar. - Apr. 2016い大学よりは、独自入試の実施率が高い傾向も確認できる。また、学生の入学後の成績や状況についての追跡調査を実施している大学も、そうではない大学に比べて、独自入試の実施率は高い。特に高倍率大学では、78.9%と50.0%と大きな開きがある。図9には、入試分析の活用状況と学生像に合った独自入試を今後増やしたいかの関連を示した。入試分析の結果を、FDの検討材料・学部学科の改組・次年度以降の入試改革に活用しており、学生の追跡調査を実施している大学ほど、今後、学生像に合った入試を増やしたいと考えている傾向が見られる。入試分析の結果を教職員に共有している大学については、逆の関係が見られた。入試分析の結果を組織として検討して、改革に生かす場合には、入試の特色化を促す材料になるが、単に入試分析の結果のみを教職員に示すだけでは、入試改革にはつながりづらいことを示している。う。一般入試を増やしたい大学では、「教職員の意識改革」「教学改革」「中長期計画」「就職資格実績向上」が課題になっている。定員の確保に課題を持つ大学がこうした点を重視しているのは極めてよく理解できる。推薦入試を増やしたい場合は「就職資格実績向上」、内部推薦を増やしたい場合はそれに加えて「教職員の意識改革」が課題となる。確実に入学してもらうためには出口を保証しないといけないし、内部推薦の場合は高大接続の観点も強くなるため、教職員の理解と協力を得ることが重要になるだろう。AO入試を増やしたい大学では、「3つのポリシーの具体化」が、留学生入試を増やしたい大学では、「IRの強化」が課題となっている。大学によって学生に対する課題感が異なり、それが入試改革の中身の違いに影響を与えていること、さらには、実施したい入試改革の方向性によって学内組織の課題感も異なることが、具体的に明らかになった。課題 ⑥入試改革の内容と学内組織の課題以上見てきたように、学生に対する課題感の違いが、現在、そして今後の入試改革の方策の違いに影響を与えていた。大学によって行いたい入試改革の内容は異なるが、その内容の違いは、学内組織に異なる課題を与えているのだろうか。アンケートでは、「学士力育成の入り口としての入試の在り方を実現するための、学内組織の課題」について尋ねている。表1では、今後増やしたい入試形態によって、どのような学内組織の課題感が高いのかを示した。「学生像に合った入試」を増やしたい大学では、「学内情報の分析機能(IR)の強化」と「3つのポリシーの具体化」が課題になっている。学生像を明確にすることは出口イメージや、そこにつなげていくための入試・教育を具体的に考えることにつながるし、そのためには学内情報の分析が不可欠であろ教職員の意識改革教学改革IRの強化中長期計画就職資格実績向上3つのポリシーの具体化学長リーダーシップ全体66.8%54.6%52.4%35.6%35.0%30.3%27.2%今後増やしたい入試形態学生像に合った入試増やしたい61.5%36.2%増やさない48.8%28.0%一般入試増やしたい72.7%59.9%41.9%39.2%増やさない60.9%49.3%29.3%30.7%推薦入試増やしたい42.9%増やさない33.2%推薦入試(うち内部推薦)増やしたい82.9%51.2%増やさない65.2%33.3%AO入試増やしたい41.0%増やさない28.6%留学生入試増やしたい63.0%増やさない50.1%表1 今後増やしたい入試形態×学内組織の課題※空欄は今後の方策によって、学内課題の認識に違いがなかったもの。特集 相互選択型の入学者選抜へ
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