カレッジマネジメント197号
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26リクルート カレッジマネジメント197 / Mar. - Apr. 2016国立大学の入試改革の方向性についてこれからの多彩な学生を一層積極的に受け入れていく必要性に鑑みた時、入学試験の改革は必要・不可欠と考えられる。即ち、人材養成目的も画一的ではなく、それを達成するための教育課程にも大きな改革が必要であり、そのような課程で教育を受ける学生の選抜方式にも工夫が必要である。特に、志願者の意欲・適性等をきめ細かく適切に評価する観点からはなお課題があると認識している。国立大学協会は、2014年8月に中央教育審議会に提出した意見書において、今後の改革の方向性として、①一般入試の共通試験・個別試験を通じて、各大学のアドミッション・ポリシーに基づき、学力検査の結果の段階別評価や面接、小論文、調査書等の活用等の多様な選抜方法を可能な限り工夫して、多面的・総合的な評価による選抜を行うよう努めること、②一般入試の個別試験における学力検査においては、良質な記述式・論述式問題の出題により、単なる知識ではなく論理的思考力・判断力・表現力等を適切に評価するようにすること、③共通試験の活用や大学独自の選抜方法を工夫して一定の学力を確保したうえで、面接、小論文、調査書、書類審査等を適切に組み合わせた多面的・総合的な評価による選抜(推薦入試・AO入試等)を行う入学者の割合を拡大することなどを表明した。さらに、この度のアクションプランの工程表では、具体的な取組例として、2021年度までに「推薦入試、AO入試、国際バカロレア入試等の拡大(入学定員の30%を目標)、個別入試における面接、調査書の活用等」を推進することを掲げている。2014年度時点、約9割の国立大学が推薦入試を、約5割の国立大学がAO入試を実施している。国立大学の入学者の15%が推薦入試やAO入試等で入学していることになる(図表2)。アクションプランでは取組例を示しており、各大学の事情や方針等によって多様な工夫があり得る。高大接続システム改革に対する考え方について文部科学省の高大接続改革実行プランが提起する現状認識と問題意識については、2015年12月に国立大学協会が高大接続システム改革会議に提出した意見書にも述べたように、国立大学も共有するものである。まさに、高等学校教育、大学教育及び大学入学者選抜を三位一体で改革していくことや、大学において三つのポリシー(アドミッション、カリキュラム及びディプロマ)を一体的に策定することは極めて重要である。初等・中等教育におけるコミュニケーション力・協働力、また英語力等の強化に繋がる改革も必要である。一方で、大学入試センター試験に代わる新テストの内容・方法や大学入学者選抜全体に共通する新たなルールについては、なお具体的に明らかでない部分が多く、高等学校や大学をはじめ幅広い関係者による議論が必要である。多様な資質を持った入学者を受け入れるという観点からは、各大学の多様な個性・特色・特長や教育研究方針を尊重することが重要であり、改革によってかえって画一化が進むようなことは避けなければならない。大学は、良き市民を育成するだけではなく、秀逸なエコノミストも、デザイン・美術に秀でた者も、素粒子物理学者も育てていかなければならない。そういった意味では、個別試験については、方法論上一定の基準を設ける一方で、大学の個性的な試験方法も可能とする枠組みでなければならない。さらに重要な観点は、大学は社会・世界に開かれた学びの場であり、また今後の我が国の知的基盤を支える人口構造を考え、入試改革にはグローバルな視点、社会人受け入れの視点なども不可欠である。才能に国境や年齢はない。国立大学協会としては、高大接続システム改革の着実な実現のために、新テストの内容・方法等の具体的制度設計をはじめとする今後の検討に積極的に参画したいと考えている。図表2 前期日程、後期日程、AO入試、推薦入試による入学者の割合(国立大学)2014年度 68.5% (68393人) 16.1% (16045人) 12.2% (12228人) 0.6% (573人) 2.6% (2629人) その他 推薦入試 AO入試 後期日程 前期日程
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