カレッジマネジメント197号
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31リクルート カレッジマネジメント197 / Mar. - Apr. 2016特集 相互選択型の入学者選抜へ学生の個性と、自社の個性をマッチさせ、フィットする人材を入社に導くことであり、一貫した施策の実施がそれを実現する。そして学生と自社の間を強く結びつける。だから採用競合にも負けない強いグリップを可能にし、入社後も厳しい環境下でしっかりと定着し、壁を乗り越え成長する強さを生み出す。では、採用が強い企業は具体的にどのような施策を打っているのか。図表5の「てんびん構造」を反映させた例を列挙してみたい。ポイントは一つひとつを場当たり的に実施するのではなく、徹底して行っている点である。掛かるパワー・時間・コストは、ともに決して少なくないことがお分かり頂けると思うが、人的資源がもたらす影響の大きさを踏まえた時、それらは十分に掛けるべきものだと理解しての取り組みになっている。【動機づけ施策】・自社の人・働きぶり・風土等のリアルを伝えるインターンシップ・口コミ、個別アプローチ、マス広告等マーケティング・ミックスによる採用ブランディング施策・多くの学生に直接接点を作って働きかける大規模イベント・時間と場所の制約を取り払いさらに多くの接点を作るオンライン説明会【選考施策】・個々の背景・価値観・マインド・能力を深く掘り下げる面接・判断基準の言語化・定量化・訓練による面接能力向上・活用しやすく、記録・蓄積・共有しやすい評価ツールの導入【決断促進施策】・学生の心の変化を追い、個々に適したTPOで行う決断支援・決断後は個々の状況に沿った不安解消や納得感向上のフォロー<採用は、社員一丸で取り組む“全社プロジェクト”>もう一つ、強い企業が行っていることとしてお伝えしたいのは「一貫性をより高めるため全社一丸となって」採用活動に取り組んでいることである。例えば、インターンシップでの協働、OB・OG訪問、研究室訪問、座談会や説明会、面接後の個別フォロー等様々な接点で、学生の自社理解を支え、決断に導く役割として「リクルーター」に多くの社員がアサインされる。また、人事部のメンバーだけでなく自社経営の今後を担う現場マネジメント層が、誰を仲間にするかを判断する採用面接者としてアサインされる。さらに、将来を支える仲間になるだろう学生に、自社の課題は何なのか、自社の将来をどうしていきたいのか、自らの声で働きかけたり、採用活動自体を経営課題に据え、全社プロジェクトの責任者として推進したりするために、社長を中心とした経営トップが自ら陣頭の指揮をとる。そして、忘れてはならないのは、直接学生との接点に登場しない社員のことである。接点を担っている社員が採用に力を割いている時、もちろん業務に支障をきたすわけにはいかない。それぞれ一人ひとりがしっかり支えあっていかなければ、結果採用活動は機能しなくなってしまう。このように、採用が強い企業はまさに全社が連動し、一丸となって採用に取り組んでいる。<多様性を確保するための企業の工夫>このように、全社一丸となって一貫した採用施策を打つ企業は採用結果として、どのような状態を実現しているのかについても少し整理しておきたい。前述の「多様な状態を作る『人材要件』」という採用基準はどのようなもので、どのように表現されているのか、その具体的イメージにも当たる。「人材ポートフォリオ」という概念で捉えると分かりやすい。「人材ポートフォリオ」は人事系ポータルサイト「日本の人事部」の定義を引用すると、事業活動に必要な人材タイプを明確化したうえで、組織内の多様な人的資源を分類し、どの人材タイプがそれぞれ何人いるか、あるいは必要となるかを分析したものとある。この観点を活用して、しっかりした採用成果を残して

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