カレッジマネジメント197号
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32リクルート カレッジマネジメント197 / Mar. - Apr. 2016いる某企業が実現させた採用結果の例を見てみたい(図表6)。メーカーであるこの企業の例では、自社にフィットするのはどのような働きぶりタイプなのかについて、「取り組み方×コミュニケーション」で区分し、創造・結果・協調・秩序という4分類で分布を見ていく考え方を活用している。そして、実際の採用結果は図表6の右図のように4:3:1:2の分布を戦略的に実現している。このメーカーでは、激しさを増す競争に打ち勝つことを狙い、さらに顧客のニーズを先取りし新しい価値を創りだす開発力の向上を実現するため、ここ5年間の採用活動で、図表6の右図のようなポートフォリオで採用活動を行っているためである。これは、まさに資産運用の世界で、ポートフォリオの視点からリターンやリスクの異なる様々な金融商品を組み合わせて成果を狙うことと非常に近く、個々の持ち味を生かした戦略的な人材活用によって、企業力を最大限高めることを狙う活動であるといえる。一方で、このような状態は、意図し戦略的に取り組まないと決して実現できない。逆にそうしなければ「人材要件」を設定することが、同じようなタイプばかりに内定を出してしまうような採用活動のミスリードにもつながりかねない。<「人材要件」を軸にPDSを回し続ける>最後に、採用活動全体をブラッシュアップし、時代が変わっても、学生が変わっても、活躍人材を採用し続けていくための、PDS(Plan-Do-See)サイクルについても触れておきたい。図表7は人材要件と個の成長プロセス、そして採用活動の関係を示している。大学生が企業の採用活動を通じて入社に至り、定着・成長したうえで活躍人材となりパフォーマンスを上げる様子を、入社前と入社後の時間軸に沿って表現したものである。この図でキーになるのは、採用活動の基準となる「人材要件」は、パフォーマンスを上げる活躍人材から導かれるということである。その基準に基づいて採用活動を行い、学生を入社へ導く。採用活動そのものにおいて、人材要件に合致する人材が採用できたかという効果検証がまずは必要である(図表7の数字3~5の部分)。ただ、それだけでは不十分だ。なぜなら活躍する人材は、時代や会社の扱う商品、学生の変化等によって変わっていく。そのため、基準となる「人材要件」そのものについても、常にそれが最適かどうかの検証・見直しを行うことで、採用活動全体のレベルアップを図っていくことが求められている(図表7の1~5の全体)。企業の採用活動から見た、「相互選択型入試」の可能性ここまで見てきたように、企業が採用活動において行っている①その企業ならではの“個性”を「人材要件」に込め、②それを一貫した基準にして「適合性(マッチング)」の高い人材を選ぶというプロセスや考え方は、大学がこれから目指す新しい入学者選抜の形、並びに実現したい状態と類似点が多いのではないだろうか。人材要件は大学で言うアドミッションポリシーであり、人材ポートフォリオの考え方は、複数の入試形態等によって多様性のある学生を入学させるといった考え方にも応用できるだろう。また、人材要件を軸にターゲットとなる学生にメッ図表6 戦略達成のための資質分類軸(左図)と採用結果の人材分布(右図)合理的 コミュニケーション 情緒的 コミュニケーション 取り組み方 チャレンジ 取り組み方 ステップ 創造 重視 結果 重視 協調 重視 秩序 重視 合理的 コミュニケーション 情緒的 コミュニケーション 取り組み方 チャレンジ 取り組み方 ステップ 創造 重視 結果 重視 協調 重視 秩序 重視 人材タイプ 4分類 人材タイプ 4分類 4 1 3 2

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