カレッジマネジメント197号
36/72

36という意欲のある学生は、放っておいても教員に話しかけ、学問の現場に主体的に働きかけていくはずだ。特色入試の目標はそんな学生を集めることだ。その意味で特色入試は「落とす」入試ではない。むしろ、受験生の学ぶ意欲を買い、「希望を受け入れる」入試だと山極総長は説明する。では、実際に、特色入試はいかなる構造で実施される入試なのだろうか。特色入試は、高校教育における成果を意識し、「高大接続型」に入試を改革することを目指した学力型AO入試だ(ただし、医学部医学科と工学部は推薦入試)。図表2にみられるように、特色入試は、センター試験によって基礎学力の有無をみたうえで、次の二つの観点で合否の判定が行われる。一つは、高等学校での学修における行動と成果の判定だ。判定材料となるのは、学業活動報告書、学びの設計書、調査書等だ。高等学校が作成する「学業活動報告書」では、高等学校における学修の顕著な活動歴や学びの実績が、志願者自らが作成する「学びの設計書」では、これからの学びと専門分野への志が評価される。もう一つは、個々の学部におけるカリキュラムや教育コースへの適合力の判定だ。ここでは、能力測定考査(大学入試センター試験の成績、論述試験、小論文、数学等)、口頭試問・面接等が課される。即ち、特色入試では、高等学校段階までの学ぶ力と、大学教育を受けるにふさわしい能力や意欲・志を有しているかが問われる構造になっている。ただ、この二つの観点が合否判定の軸となることは全学共通だが、具体的にどうやって学ぶ意欲や志をみるかは学部によって異なると有賀副学長は説明する。「求める人物像」や専門分野の特性が異なる以上、評価方法が学部・学科によって異なることはある意味当然だ。といっても、ほとんどの学部が課した「学びの設計書」で記載が求められる内容は、①当該学部(学科)への入学希望理由、②高校在学中の達成事項、③入学後の学びの設計、④卒業後における学びの活かし方だ。しかも、全ての学部が志願者に自筆での記入を課した。では、これらを使ってどのように、志願者の学びへの意欲や志を評価したのか。実際、学びへの意欲や志を定量的に測定するとなれば、それはなかなかに困難の伴う作業となることは想像に難くリクルート カレッジマネジメント197 / Mar. - Apr. 2016「学びの設計書」で意欲を評価図表2  「特色入試」の狙い■入試で高得点をとることに特化した外発的動機に基づく受動的な学びの是正 ■能力・意欲・適性・志を多面的・総合的に評価する大学入学者選抜 ■幅広い学習に裏付けられた総合力と学ぶ力及び高い志を評価できる新しい入試制度の必要性 ■7年間にわたって高等学校と大学とが連携してサポートしていくトータルな人材養成の仕組み ■大学入試は第2の学習指導要領 ■学力試験のみの評価 ■高等学校及び大学別々の人材育成 * 入試科目以外の軽視 ⇨ 幅広い学びを阻害 * 磨かれる受験テクニック ⇨ 育たない思考力 * 偏差値による大学・学部選び 高大接続・高大連携の推進/入試改革をばねとした教育改革 (例) 数学オリンピックや国際科学オリンピック出場、各種大会における入賞、教育委員会賞、国際バカロレアディプロマコース・SAT・TOEFL®・TOEIC®・英検の成績など 高校在学中の顕著な活動歴 センター試験 (基礎学力の担保) 高等学校での学修における行動と成果の判定 ① 個々の学部におけるカリキュラムや 教育コースへの適合力の判定 ② 学業活動報告書 推薦書 学びの設計書 能力測定考査 口頭試問・面接

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 36

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です