カレッジマネジメント197号
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40高校の教科書を超えている例として「人文・社会科学」をみると、「文学・哲学・芸術・宗教・政治・経済・歴史・社会等の分野」から出題されるとある。まるで大学で開講されている科目が列挙されているようである。「英語」では、「通常の日本の大学入試に多く見られる英文和訳・和文英訳のような問題とは異なり、英語でものを考え、理解し、分析する能力を図ることを目的とします」と明記されている。これについて伊東学部長は、「細かな知識に縛られることなく、知らない問いに対しても、持てる知識・経験を自分で総合して自分で解答を見いだす。ICUの入試はこの考え方にもとづき設計されています。こうした知的活動は実社会において求められる能力であり、今後の大学教育において一層求められる役割だと考えています」と話される。ICUの募集人員620名のうち、このA方式の募集人員は290名である。それ以外の主な入試と募集人員は、一般入試B方式10名(一次にATLASと英語外部試験、二次に面接)、指定校推薦180名、AO入試約40名、9月入学書類選考が90名である。多様な方式を採用しつつも、A方式に比重が置かれているのが分かる。では、ATLAS導入の結果をどのように評価するか。「それはまだ何とも言えません。4年間のICUの教育の成果として、このA方式の効用を考える必要があり、これからデータの蓄積をせねばなりません」と、伊東学部長が話されるのはもっともである。入試と教育とは切り離されるものではないのだ。コアファン獲得に成功した志願者の動向ATLASの導入は、志願者の増加という点では確実な効果をもたらしたようだ。図表3にみるように、一般入試とセンター入試を合わせた募集人員に対して8〜9倍を維持していた志願倍率は、2014年の大学入試センター試験の利用停止によって大きく低下したが、ATLASを導入した2015年入試では再び6倍を超えている。ただ、2013年までの志願倍率が9倍前後であったことをみると、回復とは言えないようにもみえる。しかし、ここにはいくつかの数字のからくりがあることを指摘せねばならない。というのは、一般入試の志願倍率は2014年こそやや低下しているものの、それ以外の年度では6倍を超え、志願者数は2015年が最も多いからである。また、大学入試センター試験利用枠の40名を一般入試に移行したことも、一般入試の志願倍率をやや低下させる結果となった。加えて大学入試センター試験の志願倍率は20倍程度あったため、全体の志願倍率を9倍前後に押し上げていたのである。2015年の志願者の増分は、これまでの大学入試センター試験による志願層とは異なる、ICUのアドミッションポリシーに納得した入学希望層とみることができる。なぜなら、大学入試センター試験利用者は国立大学志望者であり、国立大学に合格すればそこへ進学する者が大半だからである。大学入試センター試験を利用停止して国立大学との併願者が減少したが、その後、ATLASが導入されて増加した志願者とは、ICUの教育を求めている者とみることができる。この解釈の適否は、今後の志願者の動向が教えてくれよう。ATLAS導入の成否は、それによって入学した学生のアウトカムにおいても、志願者の動向においても、今後に委ねられている。リクルート カレッジマネジメント197 / Mar. - Apr. 2016伊東辰彦 教養学部長図表3 志願者数及び志願倍率の推移 ※編集部にて作成。 ※2014年よりセンター入試を停止。 ※2015年の一般入試志願倍率は一般入試(A方式)のみを掲載。 ※合算志願倍率は、一般・センターの志願者の合算を、定員の合算で割り返したもの。他の入試は含まれていない。 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 2015年 2014年 2013年 2012年 2011年 2010年 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1754 906 9.17 7.02 6.41 6.50 6.63 8.86 8.45 8.16 5.43 5.43 6.53 6.44 966 827 708 39 1602 1624 1657 1576 1894 (人) (倍) 志願者数 志願倍率 センター入試 一般入試(B方式) 一般入試(A方式) 一般入試 合算志願倍率 一般入試志願倍率

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