カレッジマネジメント197号
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53のかの途中経過やメカニズムまでを掘り下げて分析することにつながる。この解明に向けての第一歩につながったAL失敗原因マンダラは重要であった。他方でこの図は、ALの多種多様な形態や側面を受け止めきれていない。図の赤地に白文字になった部分、「成果偏重」と「自主性偏重」から分かることは、成果を出すために介入し過ぎると自主性が失われ、また自主性を育てるために放任すると今度は成果が失われかねないというある種のジレンマにも似たものである。本質的な表現をすれば「何のためのALなのかを考慮した構造になっていない」ところに一つの限界がある。AL失敗の基本三事例図の第一円環の③価値観の固執(教員‐志向面)に示された成果偏重と自主性偏重に、残るもう一つの「形式偏重」を加えると、AL失敗の基本三事例が見えてくる。① 学びがアクティブでないことここでいう「学びがアクティブでないこと」を表す行動例としては、「最低許容行動」(処罰されない程度に指示に従い積極的な言動をしない)や「訓練された無能」(与えられた指示には従うが新しい状況に応用できない)等が挙げられる。この「①アクティブでないこと」は先述した成果偏重と関連していて、成果や結果を出そうとするあまり学生の活動への介入を強めるため、学生の学びがアクティブにならないというものである。時には趣旨説明や課題出し等で適切な指導が行われないことが理由になることもある。また、教員のほうが熱くなり、学生が一歩引いてしまうようなケースもある。② 学生のラーニングがないことこれは先述した自主性偏重と関連している。授業科目には、カリキュラム(科目体系)に位置づけされた学習目的や学習内容(=コンテンツ)がある。そうすると、この「②ラーニングがないこと」とは、自主性を育もうとするあまり肝心のラーニング(学び)を損ねてしまう本末転倒の事態を示すことになる。別の表現をすれば、もし科目名称にも表れるような「学習コンテンツ」と、その学習過程で習得する「能力スキル」を区別するとしたら、副産物として育成するはずの能力スキルがAL推進の御旗の下で正当化され自己目的化するリクルート カレッジマネジメント197 / Mar. - Apr. 2016図表1 アクティブラーニング失敗原因マンダラ〈教員〉 〈教員〉 〈教員〉 〈教員〉 〈企業と教員・大学と教員〉 〈大学と教員〉 〈教員〉 〈学生〉 〈学生〉 〈学生〉 〈学生〉 〈学生〉 アクティブラーニング 失敗原因 ①知識技能不足 ⑤組織能力不足 ④授業準備不足 ②目的喪失 ③価値観の固執 形式 偏重 学内外 段取り 他事 優先 思考訓練 不足 リーダー 技能 議論前提 知識不足 連携体制 カリキュラム 怠惰 愛着 不挑戦 指導 評価 成果 偏重 自主性 偏重 助言企業の固定化 振返り実施せず 学生提案減少 学生主体性の低意識 企業連携無成果 学習目的を伝達しない 自習を促進せず 過剰介入 介入不足 不用意な人選 成績評価が連動しない グループ作業への 個人貢献把握不能 指示忘れ 機器不良で学生発表不能 指導範囲の不合意 段取り不足 企業要請不対応 「指導と気づき」の 間の位置取り不能 安易な解答 派生知識無関心 学外活動不協力 提出物の不管理 課題要件違反 欠席 学外活動の怠慢 雑談 協力企業肩入れ 独断専行 発言しない 浅薄な議論 主体性教育の無理解 やらされ感 プレゼンと集団討議=AL とのAL理解不良 ドロップアウト (×教員の思い悩み) 出典:中部地域大学グループ・東海Aチーム編(2014 p.5)
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